院長コラム

HPVワクチンと低用量ピルに関する3つの“誤解”

最近、外来の患者さんから3つのお話を伺いました。
これらは“誤解”ではあるものの、その方々の個人的な思い違いではなく、ネットでも流れている情報であったとのことです。
今回、その3つの“誤解”について説明します。

 

誤解1.「HPVワクチンを接種すれば、子宮頚がん検診を受ける必要がない。」
⇒HPVワクチンを接種した方も、20歳過ぎたら定期的に子宮がん検診を受けましょう。

子宮頚がんは、発がん性の高い(ハイリスク)HPVが子宮頚部に持続的に感染してしまう事で発生します。
したがって、ハイリスクHPVのワクチンを接種することが、子宮頚がん予防には非常に有用です。
ただし、ハイリスクHPVには13種類ほどの型があり、ワクチン接種で予防できるのは、4価ワクチン(ガーダシル)で2つの型、9価ワクチン(シルガード9)でも7つの型に留まります。
つまり、HPVワクチンを接種したからといって100%子宮頚がんを予防することはできず、早期発見・早期治療のためには、定期的な子宮頚がん検診(細胞診)が必要です。
是非、「HPVワクチン接種」と「子宮頸がん検診」の“両輪”で子宮頚がんを予防しましょう。

 

誤解2.「月経困難症の治療として低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)を服用していても、避妊にならない。」
⇒LEPは経口避妊薬と同じ成分であり、きちんと服薬していればほぼ確実な避妊効果があります。

避妊目的で服用する低用量ピルは「経口避妊薬(OC)」と呼ばれ、月経困難症の治療として使用する低用量ピルは「低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)」と呼ばれます。
OCもLEPもエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲスチン(黄体ホルモン)の合剤であり、どちらも排卵を抑制する作用や子宮内膜を薄くする作用があります。
この二つの違いは、「OCは自費診療」「LEPは保険適応」であることのみです。
つまり、LEPをしっかり服用している方は“避妊している状態”といえます。
避妊のために別途「OC」を併用して服用することは無意味であるどころが、副作用の点から考えるとむしろ有害です。

 

誤解3.「“超低用量ピル”は“低用量ピル”よりも避妊効果が弱い。」
⇒「超低用量ピル」と「低用量ピル」の避妊効果は全く変わりません。

OC・LEPに含まれているエストロゲン成分が多いと、血栓症のリスクが高まることが知られています。
そのため、効果を弱めずに副作用を減らすため、長い年月をかけて研究されてきました。
その結果開発されたのが「超低用量ピル」です。
確かに、血栓症以外の副作用(不正出血など)に関しては、必ずしも低用量ピルより超低用量ピルの方が優れているとは言えません。
ただし、避妊効果については全く同じですので、心配されなくても大丈夫です。

 

ネットや友達からの情報は、必ずしも正しいとは限りません。
ご自身が服用している薬剤や行っている治療法について不安な点やわからないことがあれば、是非主治医の先生や処方薬局の薬剤師さんにお尋ね下さい。
当院でも、治療に関して患者さんにもっとわかりやすく説明するよう、これからも心掛けて参ります。