院長コラム

8月1日は「世界母乳の日」

1990年8月1日、WHOとユニセフが母乳育児の保護・促進・支援の必要性を宣言したのを記念して、毎年8月1日を「世界母乳の日」と制定しました。
今回は、母乳育児のメリットと、当院における乳房ケアについて説明します。

 

母乳育児のメリット

赤ちゃんにとってのメリット

母乳は赤ちゃんの消化・吸収に最適であり、その成分の割合は赤ちゃんの成長に合わせて変化します。初乳には免疫グロブリンという免疫物質や成長因子が豊富であり、赤ちゃんを感染から守り、成長を促す作用があります。
出産後3~4日後には、脂質および糖質が多く含まれる成乳に変わります。また、母乳は赤ちゃんの未熟な腸管を守り、アレルギー性物質の侵入を防ぐとも言われています。
さらに、哺乳瓶から飲むのに比べて、直接おっぱいを飲む方が、赤ちゃんのあごの発達と正しい歯の発育が促される、ともいわれています。

 

お母さんにとってのメリット

授乳することで心理的な母児の絆が深まり、育児に自信を持つことができ、幸福感を感じます。また、乳頭が刺激されると脳からオキシトシンというホルモンが分泌されます。オキシトシンは乳汁分泌を促す作用だけでなく、子宮収縮を促進する作用がありますので、産後の子宮回復が早くなります。
さらに
、母乳栄養を行っているお母さんは、糖尿病、肥満、メタボリックシンドローム、気管支喘息、アレルギーなどにかかるリスクが低下するといわれています。

 

当院での乳房ケア

妊娠中:

妊娠24週頃から1日1回、乳房・乳輪・乳頭のマッサージを行って頂くように指導しています。乳房マッサージにより、血行がよくなり、分泌の準備が進みます。
また、乳輪・乳頭をマッサージすることで、柔らかく長さもある、赤ちゃんが吸やすい乳頭になります。
これらのマッサージは、妊娠36週を過ぎたら1日2回行うようにします。

 

分娩後:

当院では、初産婦さんは6日間、経産婦さんは5日間の入院中、助産師が丁寧に乳房ケアを致します。
また、「堤式乳房マッサージ法」の認定者4名(看護師長含む)による母乳外来も行っています。当院でお産された方はもちろん、他施設でお産された方でも近隣の方であれば乳房マッサージを行っております。

 

 

当院では母乳育児を推奨していますが、かたくなに母乳にこだわり、人工乳を否定することはありません。
母児の状況によっては、臨機応変にブドウ糖や粉ミルクも併用しております。
これからも、お母さんと赤ちゃんの健康を第一に考えたサポートを心がけて参ります。