院長コラム

高校1年生相当の女子の皆さま。無料で受けられるHPVワクチン接種の締め切り間近です!

子宮頚がんの原因は、発がん性の高いヒトパピローマウイルス(HPV)の持続感染であることが知られています。また、HPVワクチンが子宮がんの罹患率、死亡率を低下させることは、世界的な研究で明らかになっております。
日本においては、副反応として神経症状が認められたため、行政としては現在積極的な勧奨は控えていますが、重篤な症状が認められた方は、ワクチン接種された10,000人あたり5人程度であり、ワクチン接種をしていない女性にも同程度の頻度で同様の症状が見られることがわかりました。
この度、厚生労働省から「HPVワクチン接種の対象年齢のお子様及び保護者向けリーフレット」改訂版が発刊されましたので、今回はその情報の一部を共有します。

 

2クラスに1人は将来子宮頚がんに

日本では毎年、約11,000人の女性が子宮頚がんになります。これは、1クラスを約35人の女子クラスとした場合、2クラスに1人に相当します。
また、毎年約2,800人が子宮頚がんで亡くなりますが、これは10クラスに1人に相当します。
さらに、子宮頚がんは20~30代に増加するため、手術で子宮を摘出し妊娠できなくなってしまう女性が、毎年約1,200人もいらっしゃいます。

 

HPVワクチンで感染リスクが50~70%低下

発がん性が高いHPVは14種類ほど認められていますが、特にハイリスクである16型・18型に対応できるワクチンが、日本には2種類あります(サーバリックスとガーダシル)。
これらを6か月~1年のうちに3回接種することにより、HPV感染リスクが50~70%低下します。
そのため、わが国ではHPVワクチンは定期接種に指定されており、小学校6年~高校1年生相当の女子は公費で接種できます。

 

高校1年生相当の女子は11月中に1回目の接種を

当院では、特に10代の女性に対して、「ガーダシル」を勧めています。
ガーダシルは、子宮頚がんの原因となる16型・18型に加え、性感染症である尖圭コンジローマの原因となる6型・11型に対しても有効なワクチン(4価ワクチン)です。
ガーダシルの標準的な接種間隔は、1回目の接種から2か月目に2回目、1回目の接種から6か月目に3回目を接種します。
標準的な接種方法をとることができない場合は、1回目の接種から1か月以上経過していれば2回目の接種は可能であり、2回目の接種から3か月以上経過していれば3回目の接種が可能です。
つまり、11月下旬までに1回目を接種すれば、12月下旬までに2回目の接種が可能となり、3月の下旬までに3回目を摂取することが“ぎりぎり”可能になります。
言い換えると、3回のHPVワクチンを全て無料で接種するためには、11月中に1回目を摂取しないと間に合わなくなりますので、お気を付け下さい。

 

世田谷区民で高校1年生相当の女子の方は、早めに世田谷区保健所感染症対策課にお問い合わせ頂き、受診券をご持参の上、11月中にご来院下さい。
もし公費対象年齢を過ぎてしまっても、自費ではありますがワクチンの接種は可能です。
子宮頚がんになるリスクを減らすために、必ず3回全て接種するようにしましょう。