院長コラム

今こそ朝日を浴びて、散歩に出かけましょう

新型コロナウイルス感染拡大のため在宅勤務となり、不規則な生活や運動不足に悩まされている方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、「よぼう医学2020年秋号」に、睡眠と関連のある「メラトニン」と肥満との関連についての記事がありましたので、情報を共有したいと思います。

 

メラトニンとは

メラトニンは脳の松果体という部位から分泌されるホルモンで、体内時計に働きかけ睡眠を誘うことから、「睡眠ホルモン」とも呼ばれています。
朝、光を浴びると体内時計がリセットされ、メラトニンの分泌が抑制されます。
目覚めてから14~16時間経過すると、メラトニンが分泌し始めます。徐々にメラトニンの分泌が増加すると深部体温が低下し、眠気を感じるようになります。
ただし、夜間に強い照明を浴びてしまうと体内時計が混乱し、メラトニンの
分泌が抑制されてしまうため、不眠になることがあります。

 

メラトニンと脂肪細胞

睡眠ホルモンであるメラトニンには、肥満を抑える働きもあります。
肥満に関わる脂肪細胞には、白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞の2種類があります。
褐色脂肪細胞は熱を産生することで体温を維持する機能があり、言い換えるとエネルギーを消費する働きを持っています。
一方、白色脂肪細胞は、余分なエネルギーを脂肪に置き換えて貯蔵する役目があります。
また、膵臓から分泌されるインスリンは、血糖を脂肪細胞に取り込むように働きます。
メラトニンは、褐色細胞のエネルギー消費を促進し、白色細胞の脂肪分解を促進するほか、インスリン分泌を抑制することで脂肪組織の血糖の取り込みを抑えます。
この様に、メラトニンは肥満解消に一役買っています。

 

メラトニンを増やし、脂肪を分解するには

夜間、しっかりとメラトニンを分泌させるためには、体内時計を乱さないことが大切です。
朝はしっかりと光を浴び、夜は明るい光を浴びたり、スマホの画面を見過ぎないようにしましょう。
その上で、運動不足や肥満を解消するためには、朝のウォーキングや散歩をお勧めします。
ウォーキングや散歩自体がエネルギー消費になることはもちろんのこと、朝日を浴びることでメラトニンの分泌リズムが整えられ、夜間のメラトニン分泌が促進されるため、脂肪が分解されやすくなります。

 

秋から冬にかけては、日照時間が短くなっていきます。
肥満解消や予防のため、朝の貴重な太陽光を浴びながら、20~30分程度でもウォーキングや散歩をしてみてはいかがでしょうか。
尚、新型コロナウイルス感染が収束するまでは、人混みは避けるようにしましょう。