院長コラム

閉経後骨粗しょう症予防に重要な“二つの時期”

骨粗しょう症は、骨密度の低下などで骨折のリスクが高まる疾患であり、女性ホルモンであるエストロゲンの増減が、骨密度に大きく影響を及ぼします。
女性の生涯の中で、エストロゲンの分泌が急増する時期は思春期、急減する時期は更年期であり、この2つのライフステージは骨にとっても激動の時期になります。
今回は、閉経後骨粗しょう症の予防の観点から、思春期と更年期の過ごし方について、情報共有します。

思春期:最大骨量を増やそう
12歳頃に初経を迎えると、エストロゲンの分泌量が上昇しますが、それに伴って骨量も増加し、早くも20歳頃には生涯で最大の骨量に達します。
また、適切な運動やバランスのとれた食事によっても骨量が増えますが、摂食障害や激しいスポーツなどによって体脂肪が極端に減り、体重が減少すると、エストロゲンの分泌は増加しません。
さらに、低体重による骨への刺激の低下も相まって、骨量は伸び悩みます。
そのような方は、月経不順や無月経を認める事が多いため、体重減少による月経トラブルがみられた場合は、骨密度にも注意が必要です。
食生活でいえば、カルシウム、ビタミンD、ビタミンKなどの栄養素を積極的に摂取し、体重減少が大きい方は体重アップも心掛けましょう。
また、女性アスリートの中には、摂取エネルギーよりも消費エネルギーの方が大幅に多くなっている方もいらっしゃいます。骨密度を低下させないためにも、摂取と消費のエネルギーバランスを調整する必要があります。

更年期:骨量減少をなだらかにしよう
閉経前後5年、計10年間を更年期と言い、エストロゲンが急減する時期です。エストロゲンが減少すると、骨吸収(骨が壊されて、溶けていくこと)が進み、骨密度が低下していきます。
したがって、骨密度の低下をなだらかにするためには、更年期女性も食生活を見直して、前述のような栄養素に加えて、運動に必要な筋肉を作るタンパク質も積極的に摂取するようにしましょう。そして、適度な運動で骨に刺激を与える事や、適切な日光浴でビタミンDを皮膚で作成させることも、骨密度の低下を防ぐためにはとても重要です。
薬物療法として、低下したエストロゲンを補うホルモン補充療法(HRT)を行う事も、女性ホルモンが禁忌でない方に対しては大変有用です。
尚、40歳を超えたら、定期的な骨密度測定をお勧めします。ちなみに、世田谷区民の方は、30歳から70歳まで、5年おきに自己負担金400円で骨粗しょう症検診を受ける事ができますので、是非ご利用下さい。

シニア世代になって、骨粗しょう症から骨折、寝たきりになってしまうかどうかは、実は思春期の生活習慣が大きくかかわっています。
さらに、更年期に骨粗しょう症のリスクを下げる生活をしてきたどうかも、その後の人生に影響を与えます。
将来の自分のために、今の自分に何ができる事を考え、一つ一つ実行することが、骨粗しょう症予防にとって非常に重要です。