院長コラム

自衛隊中央病院との連携

先日、玉川医師会学術講演会におきまして、自衛隊中央病院産婦人科部長の先生から、「自衛隊中央病院における産婦人科医療の取り組みについて」のご講演を拝聴しました。
世田谷区池尻の世田谷公園近くにあります自衛隊中央病院は、当院近隣の方にとりましても、バスや田園都市線を利用して頂くと、比較的受診しやすい病院です。そのため、これまでも分娩希望の方を中心に紹介させて頂いておりました
今回は、当院と自衛隊中央病院との連携につきまして説明します。

 

 

周産期領域の連携

一時期、分娩取り扱い件数を制限していた自衛隊中央病院ですが、現在は制限が解除されています。当院の妊婦健診では、妊娠9週頃予定日を確認し、妊娠初期の血液検査、子宮頚がん検査を行います。自衛隊中央病院で分娩ご希望の妊婦さんには、妊娠10週頃に結果を説明し、紹介状をお渡し致します。自衛隊中央病院の外来予約はご自身でお取り頂きますが、通常は妊娠12週頃に1回目の受診をして頂くことになるかと思います。
妊婦健診は当院で行なうことをご希望の方には、妊娠32週頃まで当院で健診させて頂き、妊娠34週頃から自衛隊中央病院へお戻り頂きます。

産婦人科部長の先生は周産期医療のスペシャリストであり、内科、麻酔科など他科とも緊密に連携もされているようです。そのため、内科的な合併症妊娠の方も紹介可能とのことです。精神科疾患合併の妊婦さんも、基本的に受け入れて頂けるようですが、精神科的に入院が必要な場合は困難との事でした。

無痛分娩に関しては、医学的に必要な場合(妊娠高血圧症・心疾患などの合併がある場合や胎児胎盤機能不全など緊急帝王切開となる可能性が高い場合)のみ、硬膜外麻酔を施行しているとの事です。したがって、単に無痛分娩をご希望の妊婦さんに対しては施行していないため、その場合は他施設を紹介致します。

尚、自衛隊中央病院でご出産された授乳婦さんでも、分娩後に乳房トラブルを認めた場合は当院の母乳外来を受診頂けますので、是非ご予約下さい。

 

 

婦人科領域の連携

婦人科腫瘍専門医の医長の先生を中心に、婦人科疾患にも力を入れていらっしゃるとの事です。スタッフの人数の関係で、現在は良性疾患と初期の悪性疾患がメインのようですが、腹腔鏡下手術を積極的に行なっているとの事でした。

子宮頚部異形成に関しては、中等度異形成までは経過観察で、レーザーによる蒸散は行なっていません。高度異形成の場合は円錐切除術を行なっているそうです。そのため、当院から紹介する場合、細胞診あるいは組織診で高度異形成が疑わしい方が対象となります。

 

 

救急の連携

自衛隊中央病院自体にストックされている輸血用の血液は限りがあるため、現在のところ分娩後異常多量出血による救急搬送などは対応困難な様です。ただし、異所性妊娠(子宮外妊娠)、卵巣腫瘍茎捻転などの緊急対応は可能で、できるだけ腹腔鏡下手術を行なって頂けるとの事でした。

 

 

自衛隊中央病院と聞くと、自衛隊や防衛省の関係者のみが対象であると思われがちですが、地域の方々のための中核総合病院でもあります。
当院としては妊婦さんの紹介を中心に、今後さらに自衛隊中央病院との連携を深めて参ります。