院長コラム

続発性無月経に対する検査と意味

妊娠・授乳・閉経以外で、今まであった月経が3か月以上見られない場合を続発性無月経といい、超音波検査やホルモン検査などを行う必要があります。
今回は、当院で行っている続発性無月経に対する主な検査とその意味について説明します。

 

・身長、体重測定

身長は自己申告になりますが、体重は当院にて測定します(着衣の状態)。
低体重であっても、肥満であっても、無排卵、続発性無月経となる可能があります。
また、摂食障害や不適切なダイエット、激しいスポーツなどで体重が急速に減少することも、無月経を引き起こす原因となります。
身長と体重から体格の指標であるBMIを計算し[体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)]、BMIが18.5未満を「やせ」、18.5以上25.0未満を「普通」、25.0以上を「肥満」と評価します。
「やせ」の場合は、女性アスリートのエネルギー不足や神経性食欲不振症などの体重減少性無月経の可能性があります。また、「肥満」の場合は、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の可能性があります。

 

・超音波検査

無月経の方には、子宮や卵巣の状態を確認するために超音波検査を行います。
性交の経験がある方には経腟超を、性交未経験の方には経腹超音波を用います。
卵胞から分泌されるエストロゲンの一種であるエストラジオール(E2)は、子宮を成長させ、内膜を厚くする作用があります。
もし、超音波検査で子宮内膜が薄いようであれば、E2の分泌が少ない、つまり卵巣機能が低下している可能性があります。
また、両側卵巣に多数の小卵胞が認められた場合、PCOSが疑われます。

 

・血液検査

下垂体から分泌し卵巣に働きかける卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体化ホルモン(LH)、乳汁分泌に関連があり、下垂体で分泌されるプロラクチン(PRL),そして卵胞から分泌されるE2を検査します。
また、甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンも無月経に関連しています。そのため、下垂体から分泌し甲状腺に働きかける甲状腺刺激ホルモン(TSH),二種類の甲状腺ホルモン(fT3、fT4)も合わせて調べます。
これらの検査結果から、無月経の原因を推定し、治療を進めていきます。

 

無月経の検査・治療は、必ずしも婦人科だけで完結するとは限りません。
特に、内分泌内科、脳神経外科、精神科などの診察が必要になることがあります

妊娠を考えていない方でも、3か月以上月経がなければ婦人科受診をお勧めします。