院長コラム

第1度無月経と第2度無月経の診断

妊娠や授乳中でないにも関わらず、これまであった月経が3ヵ月以上みられない場合を続発性無月経といいます。
今回は、続発性無月経の重症度(第1度無月経と第2度無月経)の診断を中心に説明します。

 

 

月経の定義

月経とは、約1ヵ月の間隔で自発的に起こり、限られた日数で自然に止まる子宮内膜からの周期的出血と定義されています。

《正常月経》

周期 25~38日
周期の変動:±6日以内
月経開始から排卵まで(卵胞期日数):約12~24日間
排卵から次回月経前日まで(黄体期日数):約11~14日間
出血持続日数:3~7日(平均4.6日)
経血量:20~140ml

 

 

続発性無月経の重症度診断

無月経の重症度は第1度無月経と第2度無月経の2つに分類されます。

 

① 第1度無月経

無月経の方にゲスターゲン(プロゲスチン)テストといって、プロゲスチン製剤(黄体ホルモン製剤)を投与し、出血が認められた場合を第1度無月経といいます。

第1度無月経の場合、ある程度の卵胞(卵子を入れている卵巣にある袋)の発育が認められます。発育した卵胞からエストロゲン(卵胞ホルモン)は分泌されており、このエストロゲンの作用によって、子宮内膜が肥厚します(増殖期)。

子宮内膜が肥厚(約6mm以上)している状態でプロゲスチン製剤を投与すると、一時的に血中の黄体ホルモン量が増加しますが、しばらくすると体外へ排出され、黄体ホルモンは減少します。

黄体ホルモンが減少・消退すると、肥厚していた内膜が剥離し、子宮外へ出血という状態で排出します。これを消退出血といい、卵巣機能がある程度保たれていることの証明になります。

当院でのゲスターゲンテストは、プロベラ5mg/日またはデュファストン15mg/日の内服、あるいはプロゲデポー1管筋注を使用します。内服薬は約7日間投与し、服用終了後約3日以降の出血の有無で判定します。筋注の場合は、投与後約2週間後に判定します。

 

 

② 第2度無月経

ゲスターゲンテストで出血がみられない場合、第2度無月経といい、エストロゲンとプロゲスチン製剤の合剤を投与するEPテストを行ないます。

第2度無月経の場合、卵胞から分泌しているエストロゲン量が少なく、子宮内膜はあまり肥厚しません(6mm未満)。その結果、ゲスターゲンテストをしても剥がれ落ちる内膜がないため、消退出血は認められません。

ただし、エストロゲンとプロゲスチン製剤の合剤であれば、投与したエストロゲンの影響で子宮内膜が増殖するため、血中の卵胞ホルモンと黄体ホルモンの減少に伴い子宮内膜が剥離し、消退出血が認められます。出血があれば、ホルモンに反応する子宮内膜が存在していることの証明になります。もし、EPテストで出血がなければ、子宮が存在しないか、内膜が存在しない状態であり、子宮性無月経と診断されます。

当院では、中用量ピルであるプラノバールを1錠/日の10日間服用、またはEPデポー1管筋注で投与し、それぞれ約3日後、約2週間後に消退出血の有無を確認します。

 

 

当院では、続発性無月経の方には血液検査で各種ホルモン値の測定と経腟超音波検査による子宮、卵巣の観察を行ないます。
その後、必要に応じてゲスターゲンテストやEPテストで重症度を調べます。2つの検査とも、ホルモン剤の内服あるいは筋肉注射が必要になる旨、ご了承下さい。