院長コラム

熱中症・夏バテに有効な漢方薬3剤

梅雨が明けて、連日の暑さに熱中症になりかけている方もいらっしゃるかもしれません。
炎天下の外出を控え、こまめな水分や塩分(ナトリウム)の摂取、十分な睡眠と休息が、熱中症予防には大変重要です。
もし、軽度な症状がみられた場合は、上記の対応や体表冷却に加えて、漢方薬も有効のようです。今回は、株式会社ツムラのリーフレットを参考に、熱中症・夏バテに有効な漢方医3剤をお伝え致します。

 

  • 五苓散(ゴレイサン)

五苓散は体内の水分バランスを整える作用があり、口喝、尿量減少、下痢、悪心、嘔吐、めまい、頭痛などに用いられます。
高温環境にさらされて、熱中症の症状が出始めた頃に服用することが勧められています。
また、暑いからといってビールやハイボールを飲み過ぎてしまい、二日酔いとなってしまった時にも五苓散は有効です。
さらに、台風など気圧の低下に伴う頭痛に用いることもあり、五苓散はこれからの季節に活躍する漢方薬といえます。

 

  • 清暑益気湯(セイショエッキトウ)

清暑益気湯は熱中症・夏バテに対する代表的な漢方薬で、暑さによる症状を抑えて、元気を回復させる作用があります。
高温多湿の中、汗をかき過ぎて消耗し、口喝・食欲不振・倦怠感などの症状が持続するような時に勧められています。
この漢方は、まさに熱中症専用の漢方薬といえます。

 

  • 補中益気湯(ホチュウエッキトウ)

補中益気湯は、比較的体力が低下し消化機能が衰えた方に対して、全身倦怠感、食欲不振などの症状がみられる場合に使用します。
熱中症の時期でいうと、熱感・発汗・口喝は落ち着いてきたものの、疲労感が強く、食欲不振で夏やせになった場合に使用することが勧められています。また、クーラーの効いた室内でもだるくて、疲れが取れない時にも有効との事です。
当院では、倦怠感が強い産後や更年期障害の方に対して、主に夏用の“元気を注入する漢方薬”として処方しています。

 

個人的な考えですが、夏に入って疲れやすくなり、食欲が低下した段階で、十分な水分・ミネラル補給と休息を心掛けながら、早めに補中益気湯を服用されることをお勧めします。
下痢や悪心などの症状が出始めたら、五苓散の併用や清暑益気湯への切り替えを行うことがいいでしょう。
もし症状が改善しなければ、点滴加療が必要な場合もあるため、是非医療機関を受診して下さい。