院長コラム

漢方薬服用の際の注意点

当院では、思春期、性成熟期、妊娠期、授乳期、更年期、老年期といった全てのライフステージの女性に対して、様々な漢方薬を処方しています。
今回は、株式会社ツムラの服薬指導に関する資料を参考に、漢方薬服用の注意点についてお伝え致します。

 

服薬のタイミング

漢方薬の場合、食前または食間に服用して頂くことが一般的です。食前とは「食事の1時間~30分前」、食間とは「食事の2時間後」とお考え下さい。“食前”も“食間”も空腹時ということであり、胃の中に食べ物が入っていない時に服用して頂くことが効果的です。
ただし、空腹時の服薬により胃痛や嘔気を認める場合は、食後に変更することもあります。ちなみに食後とは「食後30分以内」のことで、胃の中の食べ物が入っている時をいいます。
尚、こむら返りに対して芍薬甘草湯を頓服して頂く際は、あまり食事時間を気にせず服薬しても大丈夫です。

 

服用の仕方

あらかじめ水や白湯を口に含んでから顆粒を一緒に飲むと、薬剤が口に残りにくくなり、味やにおいが緩和されます。オブラートや服薬ゼリーを使うこともいいでしょう。
妊娠中のつわりに対して、小半夏加茯苓湯を処方することがありますが、嘔気により服薬が困難な場合があります。そのような時には、1日分を水や白湯に溶かし、少量ずつ数回に分けて服用して頂いても構いません。
また、緑茶・コーヒー・牛乳・ジュースなどは薬の働きに影響を及ぼすことがあるため、薬と一緒の飲まない方がいいようです。
ただし、ココアに溶かして服用すると、漢方薬の苦みなどが緩和されて飲みやすくなるともいわれています。もし、水や白湯では飲みづらい場合には、試してみてはいかがでしょうか。

 

定時に飲み忘れた場合

飲み忘れに気付いた時点で、すぐに1回分を服用することが勧められていますが、次の服用までに2~3時間しかない場合は、一回お休みして下さい。原則として、2回分まとめて服用することは避けましょう。
尚、症状がおさまり、服薬を忘れるぐらい体調がよくなっているのであれば一旦休薬し、症状が再燃したら服薬を再開する、という考え方もありますので、その場合にはご相談下さい。

 

漢方薬には即効性があるものもあれば、効果が表れるまで2~4週間程かかるものもあります。
ただし、いずれにしても正しく服薬することが大前提となります。
決められた分量・回数・日数を守って服用してから、薬剤の効果を判定しましょう。