院長コラム

海外製の経口妊娠中絶薬は危険なドラッグ!?

厚生労働省から「インターネットを介して個人輸入した海外製経口妊娠中絶薬による健康被害」について、注意喚起の通達がありました。

今回は、海外製の経口妊娠中絶薬について、情報を共有したいと思います。

 

 

インド製の経口妊娠中絶薬で出血多量に

インターネットを介して、インド製と表示された経口妊娠中絶薬を個人輸入し服用した20歳代の妊婦さんが、多量の出血、痙攣、腹痛のため医療機関に入院した、との報告がありました。

この薬剤の有効成分であるミフェプリストンは、性器からの多量出血や重大な細菌感染症などを引き起こす恐れがあることが知られています。

幸いにも、件の女性は一命を取り止め、処置により軽快し、退院することができましたが、医師からの指示を受けずに経口妊娠中絶薬を使用することは大変危険です。

そもそも現在の日本には、承認されている経口妊娠中絶薬は存在せず、医師の処方がない内服薬で妊娠中絶するということは、少なくとも現時点ではありえません。

 

 

個人輸入を制限している経口妊娠中絶薬の商品名

一般名:ミフェプリストン
販売名:
(EU)  ミフェジン
(米国)ミフェプレックス
(中国)息隠
(台湾)保諾

実はインド製だけでなく、海外では上記4種類の経口妊娠中絶薬が販売されています。
主要成分のミフェプリストンは、妊娠継続に必要なプロゲステロンというホルモンの作用を止めることで、妊娠を終了させます。

ちなみに、ミフェプリストンは我が国では未承認の医薬品であり、譲渡・販売等は薬事法で禁止されています。また、医師の処方であることが厚生労働省関係機関で確認できないと、インド製を含めた5種類の経口妊娠中絶薬は個人輸入ができません。

 

 

欧米での取り扱い

欧米では、最終月経開始日から49日以内であれば、子宮収縮作用のある他の薬剤と一緒に服用することで妊娠を終了できるとして、ミフェプリストンは認可されています。

ただし、その欧米であっても、ミフェプリストンは医師のみが処方できる医薬品であり、医師による投与後の経過観察や、緊急時の医療機関への受診が必要とされています。

もちろん、医師の処方がなければ薬局で購入することはできないですし、インターネットを通じて販売されることも認められていません。

 

 

主な重篤な副作用

経口妊娠中絶薬の主成分であるミフェプリストンは性器出血を引き起こす可能性があり、外科処置が必要になるほど多量になることもあるそうです。また、敗血症などの重大な細菌感染症や子宮外妊娠患者への投与による卵管破裂の報告もあります。

 

 

我が国では、妊娠を希望しないのであれば、経口避妊薬を継続して服用して頂きます。
もし、緊急避妊が必要な場合は、産婦人科を受診し、性交後74時間以内に「ノルレボ錠」というホルモン剤を1錠服用します。
万が一、妊娠してしまった場合は、母体保護法の適応があれば、人工妊娠中絶手術を行います。
この流れが標準であり、現時点では他の選択枝はないと思っていて下さい。
くれぐれも、インターネットを通じて、海外から経口妊娠中絶薬を取り寄せることのないよう、お願い致します。