院長コラム

月経困難症に対する「ジエノゲスト錠0.5㎎」の作用

月経困難症とは月経中にみられる下腹部痛・腰痛などの症状で、わが国では約900万人もの患者さんがいらっしゃるといわれています。
だたし、実際に治療を受けていらっしゃるのは約6%(約55万人)程度であり、ほとんどの方は市販の鎮痛剤でしのいでいらっしゃるようです。
今回は、月経困難症薬として現在使用されている黄体ホルモン製剤「ディナゲスト錠0.5㎎」のジェネリックとして、最近発売となった「ジエノゲスト錠0.5㎎」について情報提供したいと思います。

 

月経困難症に対する薬物療法

月経困難症の薬物療法には、「対症療法」と「ホルモン療法」があります。
多くの方が痛い時に鎮痛剤を服用していますが、それはあくまでも対症療法であり、できれば根本的な治療としてホルモン療法をされることをお勧めします。
ホルモン療法には低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)、黄体ホルモン製剤の服用と子宮内放出システム(IUS)が主流です。
「ジエノゲスト錠0.5㎎」は黄体ホルモン製剤内服薬の一種で、血中のエストロゲン(女性ホルモン)濃度をほとんど低下させずに月経痛を改善させる、使いやすい薬剤の一つです。

 

「ジエノゲスト錠0.5㎎」の作用

月経困難症の原因の一つに、子宮内膜組織から分泌される痛み物質の存在があります。
また、月経血は外に流れ出るだけでなく、卵管を通って腹腔内に逆流し、腹膜や卵巣に子宮内膜組織が根をはやすことが知られています。これが子宮内膜症という病気の原因となり、悪化すると激しい骨盤痛や不妊症を引き起こします。
ジエノゲスト錠0.5㎎の主な作用は子宮内膜組織の増殖を抑えることであり、その結果子宮内膜は薄くなり、痛み物質の分泌が抑制されることにより、月経痛が緩和されます。
また、卵巣に働きかけ、排卵を抑制して月経自体を起こさせないため、月経血の腹腔内への逆血の機会を減らし、子宮内膜症の予防効果も期待できます。

 

LEPに入っているエストロゲン成分は血栓症をきたすことがありますが、黄体ホルモン製剤であるジエノゲスト錠0.5㎎にはその心配はありません。
ただし、服用して数か月は少量~中等量の不正出血が続くことがあります。
ジエノゲスト錠0.5㎎はジェネリックとなってお財布に優しいお値段になりましたが、メリットとデメリットを考えて適切と思われる方にお勧めして参ります。