院長コラム

更年期障害に対する治療法(2)~向精神薬・自律神経調整薬・プラセンタ(メルスモン注射薬)・腟外陰レーザー治療(モナリザタッチ)~

更年期症状の治療の主流はホルモン補充療法(HRT)と漢方療法ですが、これらだけでは多岐にわたる症状の改善が困難である場合があります。
そのような時、症状にあわせて向精神薬・自律神経調整薬・プラセンタ(メルスモン注射薬)・腟外陰レーザー治療(モナリザタッチ)を併用することがあります。
今回はこれらの治療について説明します。

 

向精神薬

不安、抑うつ症状などの精神症状が主体の更年期障害の場合、HRTの効果が不良であることがあります。そのようなケースには、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が有効なことが少なくありません。
さらに、SSRIはのぼせ・ほてりなどの血管運動神経症状に対しても一定の効果を示すことが知られており、当院では主に「レクサプロ錠」を処方しています。
ただし、精神症状の改善効果がみられるまで、1~2週間程度かかることがある旨、ご了承下さい。

 

自律神経調整薬

自律神経調整薬である「グランダキシン錠」には、自律神経系の緊張を改善する作用や末梢血流を増加させる作用があります。
当院では、HRTが禁忌の方や、血管運動神経症状に対するHRT・漢方療法の効果が不十分の方に対して処方しています。
ただし、副作用として眠気、注意力・集中力の低下があるため、車の運転はお控え願います。

 

メルスモン注射薬

メルスモン注射薬はヒト胎盤を原料としたプラセンタ製剤で、多種のアミノ酸が含まれていおり、更年期障害および産後の乳汁分泌不全に対して保険適応があります。
のぼせ・冷え・不眠・いらいら感・頭痛・疲労・肩こり・腰痛などに有効で、当院では週に2~3回を目安に、HRT・漢方療法などメインの治療と併用しています。

 

モナリザタッチ

エストロゲンの低下に伴い、膣外陰部の不快症状(乾燥・かゆみ・灼熱感・痛み・におい・ゆるみ・性交痛など)を認める方も少なくありません。これらの症状に対してHRTが有効である場合も多いですが、乳がん・血栓症などの既往・治療中の方など、HRTが禁忌の方には施行できません。また、HRT単独では膣外陰部症状があまり改善しないこともあります。
そのような場合には、「モナリザタッチ」による腟外陰レーザー治療を行うことがあります。腟壁や外陰部に炭酸ガスレーザーを照射することで、腟粘膜や皮膚の細胞を活性化させ、新しくコラーゲンを生成し、潤いのある腟、ふっくらとした外陰部に変化させます。入院や麻酔の必要はなく、1回数分の施術を1か月おきに1~3回行います。
尚、保険の適応はないため、自費で1回目88,000円、2回目77,000円、3回目66,000円、4回目以降55,000円(それぞれ消費税込み)となりますが、それだけの価値がございます。

 

当院では更年期障害に対して、HRT・漢方療法を中心に様々な治療法を組み合わせながら、お一人おひとりの症状や体質にあった方法で治療を行っております。