院長コラム

新型コロナウイルス感染拡大により「母体救急搬送」が困難に(令和4年7月24日現在)

令和4年7月下旬、新型コロナウイルス感染者が急増し、過去最多となっています。その影響で、都内の救急車利用数も激増し、事実上公的な救急車による救急搬送システムが破綻しつつあります。
つまり、お母さんとお腹にいる赤ちゃんの命・健康を守るための「母体救急搬送」が困難となってしまった、ということです。
そこで、当院では、今後以下の方針を取らせて頂こうと考えています。

 

都内総合病院で分娩を希望される方へ

当院では、「分娩は安心な総合病院、妊婦健診は近くの当院で」とご希望される方に、できる限り対応して参りました。
ただし、当院から遠い施設での分娩をご希望の場合、救急搬送が困難な現在、万が一の場合に手遅れになってしまう可能性が少なくないと考えられます。
そこで、当院からの分娩紹介先は、比較的当院に近く、日頃から連携を取らせて頂いている以下の高次施設に限らせて頂きます。

 

 国立病院機構東京医療センター

 国立成育医療研究センター

 日赤医療センター

 自衛隊中央病院

 日産玉川病院

 厚生中央病院

 

更に、これまでは妊娠中異常のない場合、妊娠32週頃まで当院で健診させて頂いていましたが、今後は少しでも心配な点がみられた時点で転院頂く事がある旨、ご了承下さい。

 

里帰り分娩(東京23区以外)をご希望される方へ

これまでは、妊娠32週頃まで当院で健診させて頂く事が多かったのですが、今後は母児の状況により、早めの帰省をお願いすることに致しました。
例えば、妊娠24週の健診で胎盤位置異常(前置胎盤疑いなど)、子宮頸管長の短縮傾向、妊娠糖尿病など、妊娠28週の健診で逆子、頻回な腹緊、血圧上昇傾向、尿蛋白陽性など、早めに帰省分娩先の施設にお帰り頂くことがある旨、ご了承下さい。

 

実は先日、母体搬送の際、都内の救急車が全て出払ってしまったという経験を致しました。
結果的に、民間救急車にお願いすることができたため事なきを得ましたが、当院が開院して55年、初めての事態です。
当院ではスタッフ一同、これからも最善を尽くして参りますが、妊婦さん、そのご家族の皆様には、現在東京は「母体救急システム」に頼れない状況であることをご理解頂き、ご協力賜りますよう宜しくお願い申し上げます。