院長コラム

性感染症予防を習慣に

毎年11月25日から12月1日までの1週間は「性の健康週間」です。性の健康医学財団はこの期間を中心に、積極的な性感染症予防ための普及啓発を呼びかけています。今回は、特に若年者に向けて、性感染症の予防について説明します。

 

 

セックスの相手は全員性感染症の感染者だと思え!

感染していても必ずしも症状が出るとは限りません。また、症状がなくても、相手に感染することもあります。つまり、相手が性感染症にかかっているかどうか、あるいは自分も感染しているかどうかを見た目だけで判断することはできません。

性感染症を100%予防する方法はありませんが、セックスの相手は全員性感染症の感染者だと思い、自分の身を守るため、せめてコンドームを使用しましょう。もちろん、不特定多数との性行為は避けるのは当然ですが、付き合っている彼であっても安心はできません。デートの時に彼がコンドームを準備していないのであれば、いくら懇願されても一切の性行為(オーラルセックスを含めて)は行わない、という強い意志が必要です。

 

 

コンドームを使用しないオーラルセックスは無謀!

口は第2の性器と言われているぐらい、口腔から性器へ、あるいは性器から口腔へ、性感染症の病原体が感染するのは簡単です。特に、クラミジア、淋菌、ヘルペスウイルス、そして最近急増している梅毒などはオーラルセックスで感染が広がりやすい性感染症です。性器にクラミジアを持っている人の10~20%、淋菌を持っている人の10~30%は口腔内にもこれらの病原体がいる、との報告があります。

極力オーラルセックスは控えた方が無難ですが、コンドームの使用によりかなり性感染症の予防ができます(100%ではないですが)。セックスの時にはコンドームを使用するカップルでも、オーラルセックスの時には使用しない方がほとんどではないでしょうか。決して気を抜かずに、当たり前のことのようにコンドームを使用しましょう。

 

 

セックスの相手が性感染症の感染者であることがわかったら

あなたが外陰部の痛みやかゆみ、帯下の増量や異臭、下腹部痛などを認めた場合は、早めに婦人科を受診し検査しましょう。また、あなたには症状がない場合でも、相手の男性が尿道炎や性器痛などの症状があり、泌尿器科で性感染症と診断された場合は、是非婦人科を受診して下さい。

クラミジア感染症、淋菌感染症、腟トリコモナス、性器ヘルペスなどは、帯下検査や肉眼的所見で比較的早期に診断がつくことがありますので、早めの薬物療法ができます。

梅毒の場合は、感染から約3週間後に、痛みのない硬結や潰瘍が陰部に出現しますが、その後治療しなくても自然に吸収され、なくなります。しかし、決して治ったわけではなく、約3ヵ月後には全身に広がってしまいます。したがって、早い段階で婦人科を受診し、血液検査で確定診断の上、薬物療法を始める必要があります。

尚、B型肝炎、C型肝炎、HIV(エイズ)については、感染から約3ヶ月後に血液検査で調べることをお勧めします。検査が早すぎると、感染していても検査結果に現れない可能性があります。

 

 

女性が性感染症に感染すると、不妊症、妊娠中の流産・早産などのトラブル、胎児や新生児への母児感染など、ご本人だけでなく次世代にまで悪影響を及ぼす可能性があります。
「セックスする時は、オーラルセックスを含めてコンドームを使用する」
これをカップルの約束事、習慣化にすることが、性感染症から自分と将来の赤ちゃんを守るための必要条件です。