院長コラム

低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬を用いた月経周期変更の方法

低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(OC・LEP)は避妊(自費)、月経困難症(保険)で用いられるホルモン剤ですが、月経周期変更にも利用することができます。
通常、周期変更には、確実性の高い中用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(EP:プラノバール錠など)を使用しますが、嘔気・嘔吐などの副作用が強く出現する方がいらっしゃいます。
一方、OC・LEPは不正出血をきたす可能性があるものの、EPに比べて嘔気などは軽い傾向があります。特に、思春期女性の周期変更には、副作用の少ないOC・LEP(1相性)の方が望ましいと考えています。
今回は、OC・LEPを用いた月経周期変更の方法について説明します。

 

月経を早める場合

EPを用いて月経を早めるには、月経周期の3~5日目から服用を開始して10日間以上継続し、月経開始を希望する日の2~5日前に中断することが勧められています。
OC・LEPによる場合も基本的には変わりませんが、服用期間が2週間よりも短いと服用中断後の出血がみられなくなることがあります。
そのため当院では、OC・LEPを用いて月経を早める場合、月経周期の3~5日目から服用を開始して14日間以上継続し、月経開始を希望する日の2~5日前に中断するよう、お話しています。
また、もし中断後7日間経過しても出血がみられない時には、その時点から月経を伸ばしたい時期まで服用を継続するよう、お伝えしています。

 

月経を延長する場合

EPを用いて月経を延長する場合は、月経予定の5~7日前から、月経を遅らせたい時期まで連続して頂きます。
一方、OC・LEPを用いて月経を延長する場合は、自然の卵胞発育や排卵をできるだけ抑制するために、月経の7日目以内に服用を開始し、遅らせたい時期まで服用を継続することが勧められています。
そのため当院では、月経を遅らせるご希望がある方が、月経の8日目以降に受診された場合には、副作用をご納得頂いた上で、EPを処方しています。

 

周期変更の診察および処方は自費となります。
ただし、月経困難症の治療としてすでにLEPを服用されている方や、今後治療薬として服用を希望されている方の場合は、保険診療にて対応しています。
受験や部活などで月経周期変更する可能性がある思春期女性は、もし月経困難症を認めているのであれば、あらかじめLEPによる治療を開始されることをお勧めします。