院長コラム

思春期女性の標準体重について

やせ願望の強い思春期女性が過激なダイエットをすると、月経が止まってしまうことがあります。
実は、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌には、体脂肪の存在が欠かせません。したがって、卵巣機能を低下させないためには、標準体重を維持し、体脂肪を減らし過ぎないことが大切です。
今回は、「産婦人科診療ガイドライン婦人科外来編2020」などを参考に、15歳以上の思春期女性の標準体重について説明します。

 

15歳以上の標準体重の計算方法

15歳以上の思春期女性の場合、以下の計算方法(平田法)で身長別に標準体重を割り出します。

  • 身長150cm以下の時:身長cm-100(㎏)

 例:145cmの場合 145-100=45kg

  • 身長150~160cmの時:(身長cm-150)x0.4+50(㎏)

 例:155cmの場合 (155-150)x0.4+50=52kg

  • 身長160cm以上の時:(身長cm-100)x0.9(㎏)

 例:165cmの場合 (165-100)x0.9=58.5㎏

 

標準体重の90%未満は無月経の可能性が

過激なダイエットや激しいスポーツにより著しく体重が減少すると、様々なトラブルをきたすようになります。
標準体重の90%未満になると無月経となり、標準体重の75%未満になると通常の日常生活に支障をきたすようになり、標準体重の70%未満になると緊急治療が必要になる、といわれています。

 

体重アップは7~10日間で500gを目安に

体重減少性無月経に対する治療の第一歩は、適切な食生活により体重を回復させることです。目標は標準体重の90%以上とし、7~10日間で500gを目安に体重をアップさせることが勧められています。

  • 身長145cmの場合 標準体重:45㎏ 90%ライン:40.5㎏
  • 身長150cmの場合 標準体重:50㎏ 90%ライン:45.0㎏
  • 身長160cmの場合 標準体重:54㎏ 90%ライン:48.6㎏

 

激しいスポーツの女性アスリートも無月経になることがあります。
エネルギー摂取量と消費量のバランスがとても大切です。
自分自身の心身を守るために、適切な食生活と標準体重の維持を心掛けましょう。