院長コラム

当院における妊娠糖尿病の妊婦さんへの対応

妊娠糖尿病(GDM)は母親、胎児双方に対し、非常に危険な状況を招く可能性があります。
そのため、全妊婦さんに対して糖代謝異常スクリーニング検査を行い、スクリーニング陽性者には精査を行い、GDMと診断された場合は、しかるべき管理が必要になります。
今回は、当院におけるGDMの妊婦さんへの対応について説明します。

 

当院での分娩予定の方

当院では、妊娠初期である妊娠9~10週頃に「随時血糖測定」を行っています。食後2~4時間の血糖が100㎎/dl未満を正常とし、100㎎/dl以上であった方には、75gOGTTという経口糖負荷試験を行います。その結果、GDMと診断された場合は、高次施設での周産期管理が望ましいと考え、東京医療センター、国立成育医療センターなどへ紹介しております。
妊娠24週の妊娠中期には、50gGCTというスクリーニング検査を行い、血糖が140㎎/dl以上を陽性と判断し、75gOGTTを行います。その結果、GDMと診断された場合は、東京医療センターへ紹介し、精査、食事指導など行って頂きます。
食事指導のみで血糖がコントロールされ、母児に異常がない場合は、当院にて分娩管理させて頂く事もあります。ただし、インスリン治療が必要な場合は、引き続き東京医療センターでの周産期管理をお願いしております。

 

妊婦健診は当院で、分娩は里帰り予定の方

妊娠初期にGDMと診断された場合は、近隣の高次施設に紹介するか、早期にご実家に戻り、里帰り先の施設で管理して頂くか、相談の上決定致します。
一方、妊娠中期にGDMと診断された場合は、早めに里帰り先の施設へお戻り頂く事を強くお勧めしています。
ただし、どうしても早期に帰省できない方には、東京医療センターを紹介し、精査や食事指導をして頂いた上で、分娩場所など方針を決めて頂いております。

 

分娩後6~12週経過すると、妊娠による糖代謝への影響がなくなるといわれています。
GDMであった方は、その時期に75gOGTTを検査し、糖尿病を発症していないかを確認することが勧められています。
当院で分娩された方、あるいは当院で妊婦健診をされていた方は、当院にて産後の75gOGTTを受けて頂くことができますので、是非ご連絡下さい。