院長コラム

当院における双胎妊娠への対応

双胎(双子)以上の多胎妊娠は、母児共にリスクが高いため、周産期センターなどの高次施設での妊娠・分娩管理が望ましいとされています。
今回は、当院における双胎妊娠への対応について説明致します。

 

双胎の診断

双胎は、胎嚢と呼ばれる厚い袋(絨毛膜)の数と、胎嚢の内側にある薄い袋(羊膜)の数によって3つに分類されます。
子宮内に胎嚢が2個確認できるものを「二絨毛膜二羊膜性双胎」、胎嚢が1個で羊膜が2つのものを「一絨毛膜二羊膜性双胎」、胎嚢も羊膜も1つのものを「一絨毛膜一羊膜性双胎」といいます。
通常、妊娠5週以降に超音波検査で胎嚢が認められるため、もし胎嚢が2個認められた場合は、その時点で二絨毛膜性双胎と診断します。
妊娠7週以降になると、胎児や心拍が認められるようになり、胎嚢1つの中に胎児が二人確認できれば、一絨毛膜性双胎と診断します。
もし、妊娠14週までに、1つの胎嚢内に2つの羊膜が認められれば一絨毛膜二羊膜性双胎と診断し、はっきりと認められない場合は一絨毛膜一羊膜性双胎と診断します。

 

双胎の高次施設紹介の流れ

当院では、妊娠5~6週で子宮内の胎嚢を確認します。もし、胎嚢が二個認められた場合でも、二つとも順調に成長するかわからないので、妊娠7~8週頃に再検します。その時点でそれぞれの胎嚢内に胎芽および心拍が確認できれば、二絨毛膜二羊膜性双胎として高次施設へ紹介致します。
また、妊娠5~6週で胎嚢が1つであっても、妊娠7~8週頃に胎嚢の中に胎児が二人確認できれば、一絨毛膜性双胎と診断します。多くの場合、羊膜数も確認できますが、中には超音波検査でも羊膜自体が見えづらい場合があります。その場合は、羊膜数は不明とし、一絨毛膜性双胎として高次施設へ紹介します。

 

当院が双胎を紹介する先は、国立成育医療研究センターが最も多く、日赤医療センターや昭和大学病院にお願いすることもあります。
東京以外での帰省分娩をご希望されている方は、早めに帰省先の施設を受診されることをお勧めします。