院長コラム

ホルモン補充療法はいつまで継続できる?~基本的には何歳までもOK~

更年期障害や閉経後骨粗しょう症の対する有効な治療として、ホルモン補充療法(HRT)は第一選択となっています。HRTの開始時期については、閉経後できるだけ早期が勧められており、閉経後10年以上または60歳以上の方が新たにHRTを行う場合は、血栓症などに注意が必要になります。
一方、HRTの継続期間については、年齢や投与期間に期限は設けられていません。
今回は、HRT継続期間に関する当院の考え方について説明します。

 

50歳未満に閉経になった方~まずは50歳まで~

日本人の閉経年齢の中央値は50.5歳といわれています。
エストロゲンが低下すると、骨密度が低下し、骨粗しょう症のリスクが高まります。
そのため、50歳未満で閉経となった方に対しては、骨粗しょう症の予防の意味も込めて、当院では原則として、50歳ごろまでHRTを継続しています。
50歳以降の方針については、「50歳以降に閉経になった方」に準じて対応しています。

 

50歳以降に閉経なった方~60歳までを目安~

HRTに用いる黄体ホルモン製剤の中には、5年以上の使用により、若干ではありますが乳がんのリスクが上昇する製剤があります。そのため、「ホルモン補充療法ガイドライン(2017年度版)」では、「5年以上の継続を行う場合には再度乳がんリスクについて説明し、継続について同意をとること」とされています。
当院では、長期にHRTを行う場合、乳がんのリスクを高めない製剤を用いるようにしていますが、できるだけ年に1回、HRT継続について検討するようにしています。
尚、HRTの骨折予防効果は60歳以下で高いことなどから、副作用がなく、HRTの継続をご希望される場合には、60歳を目安に継続しています。

 

60歳で方針の見直し

閉経後10年未満かつ60歳未満でHRTを始めた方であれば、60歳以降もHRTを継続することに問題はありません。65歳までの閉経後女性を対象としたある報告では、HRTよる骨代謝の改善が認められています。
ただし、高齢女性の骨粗しょう症は、閉経後骨粗しょう症と発生のメカニズムが異なるため、骨代謝に関してはHRTの有効性がしだいに低下する可能性があります。
そのため、HRTの継続を強くは望んでいない場合、65歳ごろまでにHRTを“ご卒業”される方もいらっしゃいます。
尚、萎縮性腟症の治療が目的の場合は、エストロゲン作用が少ない製剤に切り替えることもお勧めしています。

 

基本的にHRTはメリットがある限り、何歳になられても継続できます。
ただし、HRT施行中は、子宮頚がん・体がん検査、乳がん検査、内科的健康診断を定期的に受けて頂きます。
反対に、HRTを途中でやめることも可能ですが、その際は主治医とご相談下さい。