院長コラム

当院における分娩予定日を過ぎた妊婦さんへの対応

妊娠37週0日から妊娠41週6日までの分娩を正期産、妊娠42週0日以降の分娩を過期産といいます。過期産の場合、胎児機能不全や難産などのリスクが増加するため、当院ではできるだけ正期産を目指しています。
今回は、「産婦人科診療ガイドライン 産科編2020」を参考に、当院における分娩予定日を過ぎた妊婦さんへの対応についてお伝えします。

 

妊娠40週0日から妊娠40週6日まで

予定日を過ぎたからといって、ただちに分娩しないといけないわけではありません。お母さんに合併症がなく、赤ちゃんも元気であれば自然の陣痛が始まるのを待つことができます。
ただし、赤ちゃんの状況や子宮口の変化を確認するため、予定日過ぎの妊婦さんには2~3日毎に受診して頂き、ノンストレステスト(NSI)および超音波検査を行っています。
その結果、巨大児が疑われる場合、胎児発育不全や羊水過少症の場合など、早めの分娩が望ましいと判断した場合には分娩誘発を検討しています。
また、主に経産婦さんで、未陣発にも関わらず子宮口が非常に熟化している場合、自宅や車中での墜落分娩を防ぐために計画分娩とすることもあります。

 

妊娠41週0日から妊娠41週6日まで

妊娠41週以降は赤ちゃんのリスクが高まることが知られています。ある研究では、分娩を誘発した群の方が陣痛発来を待機した群よりも、帝王切開率が有意に低かった、とも報告されています。
したがって当院では、NSTや超音波検査で胎児胎盤機能が正常であったとしても、41週6日までに分娩が終了するよう、全例に分娩誘発を行っています。

 

妊娠42週0日以降

過期産の場合、児の予後が悪化することが知られているため、新生児診療が充実している高次施設での分娩管理が望ましいと考えています。
そのため当院では、41週台で分娩誘発を行ったにもかかわらず分娩に至らない場合には、過期妊娠になるまでに、近隣の高次施設へ紹介させて頂いております。

 

当院は一人医師の小さな施設であり、マンパワーにも限界があるため、土日・祝祭日の分娩誘発は原則として行っていません。また、同日の二人以上の分娩誘発も避けています。
分娩の誘発日程については、妊婦さんとご家族のご意向を尊重するようにしておりますが、母児の安全を第一に考えた結果、ご希望に沿えないこともあります旨、ご了承下さい。