院長コラム

当院における出生直後の新生児管理

先日、愛育病院で開催された新生児蘇生法(NCPR)の講習会(ステップアップコース)を受講しました。
当院はリスクの少ない方の分娩を取り扱っていますが、予期せぬ新生児仮死などに遭遇することもあります。
日本周産期・新生児医学会が普及活動を行なっているNCPR講習会は、分娩に立ちあう全ての医療者が、必要不可欠な初期対応の知識・技術を習得することを目的としています。
私は8年ほど前に講習会(一次コース)を受講した後、eラーニングやテキストなどで知識を維持することに心掛けていましたが、今回ステップアップコースを受講したことで、インストラクターの先生から実践的な指導を受けることができました。
今回は、このNCPRステップアップでの学びを元に、当院における出生直後の新生児管理についてお伝え致します。

 

 

○ 分娩直後、異常がない場合

妊娠37週以降の正期産で、呼吸・啼泣が強く、筋緊張低下が見られない場合は、保温に気をつけ、皮膚を乾燥させ、気道が通るようにし(以上ルーチンケア)、カンガルーケアに移ります。

妊娠37週未満の早産児、呼吸・啼泣が弱い場合、筋緊張が低下している場合のいずれかが認められたら、ルーチンケアに加えて皮膚を軽くし刺激し、口や鼻の羊水を吸引します。その結果、呼吸、心拍、体幹の色合いに異常がなければ、注意深く経過観察しながらカンガルーケアを行ないます。

 

 

○ 分娩直後、軽度な異常がある場合

ルーチンケアや皮膚刺激、口と鼻の吸引などを行なった後に、自発呼吸の有無、心拍数が100/分以上であるかどうかを確認します。
その結果、自発呼吸を認めるものの努力呼吸(呻吟、鼻翼呼吸、陥没呼吸、多呼吸)であったり、体幹・口唇などが青色(チアノーゼ)になった場合は、パルスオキシメータを右手に装着し、口・鼻辺りに酸素を吹流すようになります。

努力呼吸が軽度な多呼吸程度であり、他の異常所見がなければ、注意深く経過観察しながらカンガルーケアを行なう事もあります。

 

 

○ 呼吸や心拍に大きな異常がある場合

自発呼吸がなく、心拍数が100回/分未満の場合には、人工呼吸の適応になります。人工呼吸は40~60回/分、空気で行ないます。

30秒後に全身状態を評価し、もし心拍数が60回/分未満となっていたら、高濃度酸素を用いた人工呼吸と胸骨圧迫を行なう必要があります。

 

 

○ 新生児救急搬送が必要な場合

胸骨圧迫が必要になった場合や努力呼吸・中心性チアノーゼが軽快しない場合などは、新生児救急搬送をお願いすることになります。

NICUを有する高次施設、例えば東京医療センター、国立成育医療拳銃センター、日赤医療センター、昭和大学病院、慶応義塾大学病院などの医療機関に紹介させて頂くことになります。

 

 

今回のNCPR講習会で学んだことをスタッフ全員で共有し、当院独自のプロトコールを見直して参ります。
そして、予期せぬ事態に対しても皆が冷静で的確に行動できるよう、スタッフと一緒に院内シミュレーション実習を積極的に行なっていこうと思っています。