院長コラム

当院でホルモン療法に用いる主な薬剤(2)~プロゲスチン製剤、エストロゲン・プロゲスチン配合剤~

前回に引き続き、当院で主に用いていますホルモン剤のうち、プロゲスチン(黄体ホルモン)製剤とエストロゲン・プロゲスチン配合剤について説明致します。

 

 

○ デュファストン錠 5mg(経口)

思春期から性成熟期女性の続発性無月経(3ヵ月以上月経を認めない状態)の中には、卵胞からエストロゲンは分泌されているものの、排卵していないため黄体が形成されず、黄体ホルモンが分泌されていないケースがあります。そのような方に黄体ホルモン製剤の注射または内服薬を投与すると、しばらくして黄体ホルモンが減少し、それに伴い子宮内膜が剥がれて、子宮出血(消退出血)がみられることがあります。これを第1度無月経といい、このような方には、周期的にプロゲスチン製剤を内服してもらい、消退出血を起こさせるというホルムストローム療法が代表的な治療法となります。

海外で用いられている天然型黄体ホルモン剤は日本では認可されていないため、当院ではより天然型に近い「デュファストン」を使用しています。ホルムストローム療法としては、消退出血開始約14日後からデュファストン5mgを3錠/日分3で10日間服用して頂きます。

また、更年期障害や閉経後骨粗鬆症に対するホルモン補充療法(HRT)では、子宮を有する方の場合、エストロゲン製剤のみ投与すると子宮内膜増殖症や子宮内膜がんのリスクが高くなるため、プロゲスチン製剤を併用し、子宮内膜の増殖を抑制します。

当院では現在、子宮を有しており、エストロゲン製剤(経口剤または経皮剤)を使用している方には、デュファストンの投与を第I選
選択としています。

飲み方は、エストロゲン製剤とともに持続的に使用する「持続投与」の場合は、デュファストン5mgを1日1錠連日服用して頂きます。周期的に用いる「周期投与」の場合は、エストロゲン製剤の持続的あるいは間欠的投与に併せて、デュファストン5mgを1日2錠14日間服用します。

 

○ プロベラ錠 2.5mg(経口)

以前はHRTに用いるプロゲスチン製剤の代表でしたが、エストロゲン製剤のもつ血管内皮細胞や神経細胞の保護作用を減弱させる可能性あることや、長期投与による乳がんリスクの増加などのデメリットが指摘されたため、当院では使用頻度は減少しています。それでも、デュファストンによるHRTで不正出血がおさまらないときには、より子宮内膜増殖を抑制する作用が強いプロベラ錠へ変更することがあります。

飲み方は、持続投与の場合は、プロベラ錠2.5mgを1日1錠連日服用して頂きま、周期投与の場合は、プロベラ錠2.5mgを1日2錠12日間併用します。

 

○ ウェールナラ配合錠 (経口)

ウェールナラ配合錠はエストロゲンとプロゲスチンの配合であるため、1日1錠だけの連続服用で大丈夫です。ただし、閉経後骨粗鬆症のみが保険適応になっているため、更年期障害のみの方には処方していません。

 

○ メノエイドコンビパッチ(経皮)

メノエイドコンビパッチもストロゲンとプロゲスチンの配合剤ですが、こちらは貼付剤でり、週2回の貼り替えが必要です。胃に負担がかかり易い方にはメノエイドコンビパッチを使用することが多いですが、他の薬剤と比べて、不正出血をきたす方が多い印象があります。その場合、エストロゲン製剤は経皮剤、プロゲスチン製剤は経口剤に変更することもあります。

 

 

当院でのHRTは、子宮を有している方はジュリナ錠1錠とデュファストン錠1錠の持続投与が最も多く、メノエイドコンビパッチが次に続きます。
また、子宮体がんのリスク軽減には周期投与より持続投与が望ましいとされているため、当院では原則として持続投与を推奨しています。
ただし、50歳未満の方で月経様の出血を望まれる方には周期投与を行なっていますので、薬剤・投与方法などにつきまして、是非ご相談下さい。