院長コラム

当院での月経周期移動法

月経困難症や過多月経が認められる場合、試験やスポーツ、旅行に月経が当たってしまうと、力を存分に発揮できなかったり、心から楽しむことができなかったりします。
そのため、月経周期の移動を主訴に、婦人科外来を受診される方は少なくありません。
今回は、当院での月経周期移動法について説明します。

 

推奨1

日頃から月経困難症治療としてヤーズフレックス錠(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬:LEP製剤)を服用する

月経周期をずらしたい、という方のほとんどには、月経中の下腹部痛、腰痛、倦怠感などの不快症状が、大なり小なり認められると思います。
多少なりとも月経困難症で悩まれているのであれば、その治療として保険適応のあるLEP製剤を服用されることをお勧めします。
LEP製剤の中でもヤーズフレックス錠は長期間連続服用が可能であり、理論上服薬中は出血がなく、あえて出血を起こさせたい時には4日間休薬するなど、ご自分の意志で出血をコントロールすることが可能です。
ただし、服用開始して数か月は服薬中でも出血をきたすことが少なくないため、月経をずらしたい日程の直前になってヤーズフレックス錠の服用を始めることはお勧めしません。

 

推奨2

プラノバール錠(中用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬)で月経を早める

LEP製剤を服用していないのであれば、プラノバール錠を用いて月経を早めることをお勧めします(自費)。
人によってはプラノバール錠の服用で嘔気や頭痛などの副作用が見られるため、試験や旅行中の服用は避けた方がいいでしょう。
具体的には、月経周期5日目頃から月経発来希望日の3日前頃まで、1日1回1錠を一定の時刻に連続して服薬します。通常、服用中止から2~3日で出血がみられます。

 

推奨3

プラノバール錠で月経を遅らせる

もし、変更したい月経が差し迫っていた場合は、プラノバール錠で月経を遅らせることも可能です(自費)。
ただし、服用中に嘔気・頭痛などの副作用がみられる場合がありますので、お気を付け下さい。
具体的には、ずらしたい月経予定の5日程前から月経を避けたい最終日前日まで連続服用して頂きます。すると、プラノバール錠服用終了から2~3日で出血が見られます。

 

月経困難症がなく、一時的に月経周期をずらしたいのであれば、プラノバールによる周期変更でもかまいません。
ただし、月経困難症を認め、頻回に月経周期を変更するのであれば、ヤーズフレックスを用いて月経をコントロールする方法をお勧めします。
いずれにせよ、月経周期を移動したい方は早めにご相談下さい。