院長コラム

妊娠中の「性器クラミジア」スクリーニング検査と陽性者の治療

性器クラミジアは性感染症の中でも最も患者さんが多く、妊婦さんの中にも感染している方がいらっしゃいます。クラミジア感染妊婦さんが未治療のまま経腟分娩されると、赤ちゃんも感染して、結膜炎や肺炎などをきたす可能性があります。
このような母子感染を防ぐためには、妊婦さん全員に性器クラミジアの検査を行い、陽性者には薬物療法を行って、お産までに治して頂く必要があります。
今回、当院で行っていいます妊娠中の性器クラミジアスクリーニング検査と、陽性者の治療法について説明します。

 

性器クラミジアスクリーニング検査:妊娠16週頃

当院では、妊娠16週頃の妊婦健診の際、性器クラミジアスクリーニング(PCR)検査を行っております。
腟鏡で帯下や子宮腟部の状況を確認し、検査用綿棒で子宮頚管入り口付近の帯下を拭います。ほとんど痛みのない検査で、数秒で終わります。

 

スクリーニング検査で陽性であった場合:妊娠20週頃

妊娠20週頃の妊婦健診の際、性器クラミジア検査結果をお伝えします。もし陽性であった場合は薬物療法を行います。
当院では、ジスロマック錠(250mg)4錠(合計1000mg)の単回内服を第1選択としています。ただし、ジスロマック錠服薬後、2時間以内に嘔吐してしまった場合は効果が不十分であるため、薬剤を再投与します。
その際は薬剤を変更し、クラリス錠(200mg)1回1錠1日2回を7日間服用して頂く事があります。
尚、ジスロマック錠もクラリス錠もマクロライド系抗生剤であり、胎児に影響を及ぼさないため、妊婦さんでも安心して服用頂けます

 

治癒効果判定:妊娠24週頃

投薬終了後、3週間以上あけて効果判定を行います。
ジスロマック服薬4週間後、またはクラリス錠服薬終了3週間後にあたる妊娠24週頃に、子宮頚管のクラミジアPCR検査を行います。
尚、クラミジアと同時感染を起こすことがある淋菌のPCR検査も、一緒に調べる場合があります。

 

性器クラミジア感染症は性交で感染するため、パートナーも感染している可能性があります。
是非パートナーには泌尿器科などを受診して頂き、もしクラミジア感染が確認されましたら、薬物療法をして頂きましょう。
その場合、お二人とも治癒が確認されるまでは、性行為をお控え下さい。