院長コラム

当院が取り組むSDGs(2) 「妊産婦さん、褥婦さん、胎児、新生児の安全・健康のため、スタッフ皆が日々研鑽を積み、さらに高次施設・専門医や行政との連携を充実させる」

今回は、当院が取り組むべき持続可能な開発目標(SDGs)の内、「目標3:ターゲット3.1および3.2」に対する具体的な方針ついて説明します。
ちなみに目標3は「あらゆる年齢の全ての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」とあり、医療従事者であれば皆が目指すべき目標となっています。
特に、ターゲット3.1は「妊産婦の死亡率を減少させる(改変)」、3.2は「新生児死亡率を減少させる(改変)」とあり、分娩を取り扱っている医療施設に課せられた責務ともいえます。

 

 

妊婦健診で母児の異常をチェック

妊婦健診では母体と胎児の状態を把握し、異常がみられた場合は早めに対応することを心掛けています。当院は個人医院ですので、中等度以上の合併症がある方や胎児に成長に問題がありそうな場合、近隣の高次施設(東京医療センター、日赤医療センター、国立成育医療研究センターなど)へ紹介させて頂いております。また、当院で分娩予定の妊婦さんでも、少し気になるような内科的な合併症がみられる場合(特に循環器系、呼吸器系、甲状腺疾患、皮膚・アレルギー疾患など)には、近隣でご開業されているスペシャリストの先生方と連携しながら、その方にとって最善な医療を提供したいと考えています。

 

 

安全なお産に向けて

ほとんどのお産は順調に経過しますが、時には分娩中あるいは分娩後に母児が危険な状態になることがあります。当院では、「産婦人科診療ガイドライン 産科編2017」などに準じた標準的医療を守りながらも、状況に応じて最善と思われる対応に心掛けております。もし、危険な状態になりそうな場合は、できるだけ早めに察知して、悪化する前に高次施設への母体搬送するようにしています。
また、分娩時の多量出血など緊急事態の場合でも、適切な対応ができるよう多くのスタッフが母体救命講習会に参加し、そこでの学びをスタッフ間で共有し、チームとして常に技術の向上に心掛けています。

 

 

新生児への対応

生まれてきた赤ちゃんの状態を素早く観察し、適切なケアができるよう、「新生児蘇生法ガイドライン」の講習会で定期的に学び、知識や技術をスタッフ間で共有しています。
時には近隣の小児科医や高次施設の新生児科医の先生のアドバイスを頂くことや、必要と判断した場合は新生児集中治療室(NICU)を有している施設へ新生児搬送することもあります。

 

 

褥婦さんへのサポート

分娩後はホルモン環境や生活環境が大きく変化するため、心身ともに疲れやすくなります。さらに、母乳のトラブルが精神的にも影響を及ぼすことがあります。
当院では、疲労感・マタニティーブルーズなどに対する漢方療法を中心に、母乳外来・すくすく外来で褥婦さんをサポートしています。
また、近隣のメンタルクリニックや地域の保健師さんとの連携などにも力を入れています。

 

 

当院は小さな施設ですが、これからもスタッフ1人ひとりが研鑽を積み、皆がワンチームとして一丸となり、更に近隣の高次施設や専門医、あるいは行政機関・NPO法人などとも連携を図ることで、妊産婦さん、褥婦さん、胎児、新生児の安全・健康に貢献したいと考えています。