院長コラム

当院が取り組むSDGs(1) 「すべての年代の女性に対し、適切な食生活の重要性を伝え、サポートする」

今回は、当院が取り組むべき持続可能な開発目標(SDGs)の内、「目標2」に対する具体的な方針ついてお伝えします。
ちなみに、目標2は「飢餓を終わらせ、食糧安全保障および栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する」であり、ターゲットの一つに「2.2:あらゆる形態の栄養不良を解消し、若年女子、妊婦・授乳婦および高齢者の栄養ニーズへの対応を行なう。」とあります。

 

 

思春期の食習慣は人生の基礎作り

思春期は女性ホルモンであるエストロゲンが増加し、女性としての体をつくる基礎的な時期になります。しかし、この時期に無理なダイエットをして低栄養、低体重の状態が持続ずると、エストロゲンの分泌が低下し、将来不妊症や周産期異常など様々なトラブルを引き起こす可能性があります。
特に、骨量はエストロゲンの上昇に伴い急速に増加しますので、エストロゲン分泌が少ないと骨量はあまり増えません。しかも、骨量の増加は20歳頃には止まりますので、10代でいかに骨量を“貯金”するかが、将来骨折による寝たきりになる事を防ぐ、大きなポイントになります。
そのためにも、「思春期における食生活は、人生を左右するほど重要である」という事実を、若い世代にはもちろん、彼女たちを“食育”されるお母さん世代にも伝えていかないといけない、と考えています。

 

 

妊活中から摂取が必要な栄養素「葉酸」

赤ちゃんの二分脊椎などのリスクを減らすためには、妊娠する1ヵ月前から妊娠3ヵ月頃までの間、葉酸(ビタミンB群の一種)を通常の成人女性の必要量240μg/日に加え、400μg/日以上を摂取することが求められています。いつ妊娠するか予測がつかないこともありますが、せめて妊娠を計画する時期になりましたら、栄養バランスがとれた食事に葉酸を豊富に含んだ食品を加え、更にサプリメントを利用して葉酸をしっかり摂取することが必要です。
これからも、挙児希望でご来院される方はもちろん、将来妊娠を希望される若年女性に向けても、パンフレットなどを用いながら、葉酸摂取の重要性を啓発して参ります。

 

 

妊婦さん・授乳婦さんの食生活は赤ちゃんにも影響が

近年、出生時体重が2,500kg未満の低出生体重児が増えています。ダイエット志向の女性が妊娠中も食事を制限し、低栄養になっていることが原因の一つと言われています。栄養バランスのとれた食事をしっかりと摂取し、適切な体重増加を目指すことが大切です。
一方、もともと肥満タイプの方や妊娠中にどんどん体重が増えてしまう方も、妊娠中の合併症や難産のリスクが増加するため、適切な食事管理が必要です。
また、授乳中のお母さんも、摂取エネルギーや栄養素に気を配る必要があります。
今後当院では、妊婦健診、母親学級、個別指導などで行なっております栄養士・助産師による食事指導を更に充実させて参ります。

 

 

中高年女性がさらに輝くために

エストロゲンの分泌が低下し始める更年期以降の女性が、健康で若々しく充実した日々を送るためには、バランスのとれた食生活が欠かせません。閉経後は、骨粗しょう症、脂質異常症、動脈硬化などの病気のリスクが高まりますが、病気になってから治療するのではなく、病気になる前に予防することが大切です。
健康寿命を延ばすためにも、中高年女性の方々に対して適切な食生活の重要性を伝えて参ります。

 

 

エストロゲンの分泌が劇的に変化する女性が、生涯にわたって健康的な生活を送るためには、どのライフステージにおいても適切な食生活は必要不可欠です。
当院では、すべての年代の女性に対して、食生活を見直すことの重要性を訴え、サポートしていきたいと考えています。