院長コラム

将来の妊娠に向けてのチェックポイント

母児ともに安心・安全なお産のためには、妊娠前の健康保持・増進が大切です。
これは「プレコンセションケア」と呼ばれ、わが国だけでなく世界的に重要な概念となっています。
今回は、「臨床婦人科参加 2021年12月号」を参考に、将来の妊娠に向けてのチェックポイントについて説明します。

 

①適正体重をキープしましょう。
適正体重とは、体格の指標であるBMI(体重㎏÷身長m÷身長m)が5以上、25未満となる体重をいいます。
18.5未満の場合も、25以上の場合も、妊娠合併症や胎児異常などのリスクが高くなります。
そのため、妊娠前には適正体重となるようコントロールしましょう。

②バランスの良い食事を心掛けましょう。
朝食を抜かず、一日3食摂取することが大切です。
特に、タンパク質(肉・魚・卵など)、野菜(野菜料理を2~3品)を取ることが推奨されています。

③葉酸(サプリメントを含む)を摂取しましょう。
葉酸はビタミンB群の一種で、その不足は胎児の二分脊椎などの発生リスクを高めます。
そのため、少なくとも妊娠する一か月以上前から、緑黄色野菜や果物を積極的に摂取し、「エレビット」などのサプリメントを服用することが大切です。

④適切な運動をしましょう。
週150分程度の運動が推奨されていますが、ウォーキングやスロージョギングなどの有酸素運動を中心に、長期間継続することが大切です。

⑤生活習慣病に気を付けましょう。
定期的に健康診断を受けて、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの病気がないか確認しておきましょう。
もし、健診にて異常を指摘された場合は、早めに医療施設を受診して下さい。

⑥婦人科がん検診を受けましょう。
20歳以上の方は、子宮頸がん検診(世田谷区検診では2年毎)を受けるようにしましょう。
尚、25歳までの方で、子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)を接種していない方は、早めに接種されることをお勧めします。

⑦禁煙し、アルコールも控えましょう
喫煙されている方は禁煙し、受動喫煙も避けるようにしましょう。お酒もお付き合い程度に。

➇感染症のチェックをしましょう。
性感染症では、性器クラミジア感染症・淋菌感染症・梅毒・HIV感染症を事前に検査しておくと安心です。
また、麻疹、風疹、水痘のワクチンは定期接種となっているため、ほとんどの方は抗体を持っていると思いますが、特に風疹の抗体が十分にあるかを妊娠前に確認することは大切です。
世田谷区では、風疹抗体検査、抗体価が低い方に対するワクチン接種は助成金の対象です(ご主人も)。

⑨ストレスをため込まないようにしましょう。
悩み事を相談できる相手がいることや、ストレス発散を行えていることも大切です。

⑩持病のある方は、妊娠について主治医と相談しましょう。特に甲状腺疾患、糖尿病、高血圧、精神疾患の持病で薬物療法中の方は、いつ頃妊娠してもいいか、その場合は服用している薬剤の変更が必要かなど、じっくり主治医と相談することが重要です。

 

妊娠を計画してから生活習慣を改めることは難しいこともあります。
また、予期せず妊娠する場合もあります。
できれば思春期から、遅くとも20歳を過ぎたら健康の保持・増進を日々心掛けるようにしましょう。