院長コラム

子宮頚部細胞診で異常を指摘された場合の対応

子宮頚がん健診などの子宮頚部細胞診で病変がみられた場合、コルポスコピー(拡大鏡による検査)および組織診などの精査が必要になります。
今回は、「産婦人科診療ガイドライン婦人科外来編2020」(日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会編)を基に、子宮頚部細胞診で異常を指摘された場合の、当院での対応について説明します。

 

NILM:異常なしの場合

今までに子宮頚部細胞診で異常を指摘された事がなければ、2年に1回の子宮頚がん健診をお勧めします。もし、子宮頚部の細胞異常を指摘された事がある方は、状況により6か月から12か月毎の子宮頚部細胞診を行います。

 

ASC-US:軽度病変疑い

今までハイリスクHPV検査を受けたことがない方はこの検査を行います。もし陰性であれば、子宮頚がんへ進展するリスクが低いため、12か月後に細胞診を行います。
ハイリスクHPV検査で陽性の場合は、原則としてコルポスコピーおよび組織診を行います。
ただし、24歳以下の若年者の場合は1年後の細胞診とすることもあり、妊婦さん(25歳以上)の場合は出産後にコルポスコピーおよび組織診を行うこともあります。

 

LSIL : 軽度病変(軽度異形成疑い)

原則としてコルポスコピーおよび組織診を行います。ただし、24歳以下の若年者の場合は1年後の細胞診とすることもあり、妊婦さん(25歳以上)の場合は出産後にコルポスコピーおよび組織診を行うこともあります。

 

ASC-H・HSIL:高度病変疑い・高度病変(中等度異形成・高度異形成・上皮内がん)

中等度異形成が推定される場合は、原則としてコルポスコピーおよび組織診を行います。ただし、細胞診や組織診で1年以上中等度異形成が継続している場合は、精査・治療目的で高次施設へ紹介することがあります。

高度異形成・上皮内がんが推定される場合は、当院でのコルポスコピーおよび組織診は行わず、高次施設へ紹介します。

 

SCC・AGC・AISなど:扁平上皮がん・腺がんなど

扁平上皮がん・腺がんが疑われる場合はもちろん、腺系細胞の異常が認められた場合は、当院ではコルポスコピーおよび組織診は行わず、直接高次施設へ紹介します。

 

人間ドックや他施設での検診などで子宮頚部の細胞異常が指摘された場合、ASC-US、LSIL、ASC-H・HSIL(中等度異形成)までであれば、当院での精査や経過観察は可能です。ただし、高度異形成以上の病変の場合は高次施設へ紹介させて頂く旨、ご了解下さい。