院長コラム

子宮頚がん検診は2年毎に受けましょう ~「子宮頚がん検診ガイドライン」2019年度版から ~

先日、国立がん研究センターは「有効性評価に基づく子宮頚がん検診ガイドライン」2019年度版を公開しました。
今回はこのガイドラインを基に、当院での子宮頚がんのポイントを説明します。

 

〇検診対象は20~70歳、検診間隔は2年

世田谷区の検診では、20~40歳まで毎年、40歳以降は2年ごと(偶数年齢になる年度)に検診を受けることができます。
また、「有効性評価に基づく子宮頚がん検診ガイドライン」2019年度版では、検診対象は20~69歳、検診間隔は2年を推奨すると明文化されました。
以上を踏まえて、当院では以下のように対応したいと考えています。

  • 世田谷区がん検診の場合、原則として20~70歳の方を対象にします。ただし、子宮頚がん検査の強いご希望がある方は、80歳頃まで検診致します。
  • 原則として、検診間隔は2年ごとと致します。これは区検診だけでなく、人間ドックなどの検診も含めます。ただし、妊娠初期や分娩後の子宮頚がん検査については、2年以内の間隔で行うことがあります。

 

〇細胞の自己採取は認めず

今回の子宮頚がん検診ガイドラインでは、細胞の採取は医師のみとし、自己採取は認めないことになりました。
主婦検診などの場合、検査会社によっては自己採取法を取り入れているところもあるかもしれませんが、改めて婦人科を受診し、医師による検査を受けて頂くことをお勧めします。

 

〇HPV(ヒトパピローマウイルス)検査について

子宮頚がんのほとんどは、発がん性の高いHPVの持続感染が原因であることが知られています。そのため、細胞診検査の代わりに子宮頚部のHPV検査が有用であるかの研究が行われています。
現在、HPV検査単独法で浸潤がん罹患率減少効果が認められており、今回のガイドラインでも「30~60歳・検診間隔5年」が推奨されています。
ただし、今のところ世田谷区健診は細胞診のみであるため、当院では子宮がん検診としてのHPV検査は行っておりません。今後、全国的にHPV検査による検診システムが整えば、世田谷区でも導入する可能性がありますので、その際はご案内致します。

 

HPVワクチンが普及していないわが国において、子宮頚がん検診は頚がん予防の唯一の砦です。自治体や勤務先の検診、あるいは人間ドックなどを積極的に利用して、2年に1回は子宮頚がん検診を受けるようにしましょう。