院長コラム

子宮内膜症の疼痛に対する「レルミナ錠」使用の対象者は?

「レルミナ錠」は人工的に閉経状態にする内服薬で、エストロゲンという女性ホルモンの分泌を抑制します。
エストロゲンは大切なホルモンですが、子宮筋腫・子宮内膜症を増大・悪化させる作用もあります。そのため、エストロゲンを低下させるレルミナ錠は、子宮筋腫や子宮内膜症の治療薬として広く使用されています。
今回は、あすか製薬さんの資料を参考に、レルミナ錠での子宮内膜症の疼痛管理が特に適している方について、情報を共有したいと思います。

 

  • 子宮内膜症による疼痛が強い方

 人工的に閉経にさせる治療を「偽閉経療法」といい、子宮内膜症による疼痛を軽減させる作用が強いと言われています。
偽閉経療法には、月一回の皮下注の製剤もありますが、注射が苦手な方は、内服薬であるレルミナ錠がお勧めです。

  • 深部子宮内膜症で性交痛を認める方
    子宮内膜症により骨盤内の癒着が強い方がいらっしゃいます。その場合、性交などで子宮が動くと、強い痛みを感じる場合があります。このような性交痛にも偽閉経療法は有効です。

  • 他の子宮内膜症治療薬の効果が不十分な方
    月経困難症が強い子宮内膜症の治療として、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)や黄体ホルモン製剤(ディナゲスト錠など)が使用されることも多く、特に20~40代前半の方に対しては第一選択となります。
    これらの治療にも関わらず疼痛の改善が不良な場合は、一時的にレルミナ錠へ切り替えることもあります。
    ただし、偽閉経療法は、骨密度を低下させる副作用があるため、原則として6か月以内の使用に限られます。
    そのため、レルミナ錠終了後、自然閉経に逃げ込むことができない場合は、再びLEPや黄体ホルモン製剤へと戻ることがあります。

  • 手術前の痛みのコントロール目的
    子宮内膜症に対する手術を予定されている方には、効果的に疼痛を軽減させるため、効果が早く表れるレルミナ錠が有用です。

  • 子宮筋腫を合併し、過多月経を認める方

 子宮筋腫が原因で月経量が多く、貧血を認める場合は、できるだけ早く月経を止める必要があります。
その点、レルミナ錠は比較的早期にエストロゲンが減少するため、服用開始の翌月から無月経となり、早い段階から子宮筋腫の縮小も期待できます。

 

子宮内膜症の治療には、様々な方法があります。
子宮内膜症の状態、子宮筋腫の有無、挙児希望の有無、年齢など状況によって望ましい治療法が異なります。
当院では、ご本人とご相談しながら、他施設への紹介も含め、個々にあった最善の治療法の提供を心掛けています。