院長コラム

令和4年度世田谷区立弦巻中学校「命の授業」報告

先日、区立弦巻中学校の3年生を対象に、「命の授業」を行って参りました。
昨年も、3年生に性教育授業を行いましたが、その時はコロナ禍のためリモートによる授業となりました。
しかし今年は、マスク着用ではあるものの、体育館での対面式授業をさせて頂くことができました。そのため、生徒の皆さんのお顔やリアクションを見ながらお話することができ、ある程度、お伝えしたいことが伝わったのでは、と思っております。

私が中学生にお話をする際、「自分を大切にしましょう」「他者を尊重しましょう」「正しい知識を学びましょう」の三つをテーマに掲げています。
まず、自分自身の心身の健康を大切にした上で、パートナーをはじめ周りの方に思いやりの心で接することが、とても大切であることを伝えています。
さらに、ネットなどで誤った情報を鵜呑みにしている若者が多い現代、正しい知識を学ぶことが非常に重要であることも強調しています。

授業内容については、最初に女性ホルモンや月経に関する基礎知識をお話し、①月経トラブル②避妊と性感染症・その予防③子宮頚がんとHPVワクチンについて説明しました。

月経トラブルに関しては、具体的に月経困難症、月経前症候群、続発性無月経の原因と治療法や対策をお話しました。
男子の皆さんからは「女子の辛さを実感することはできないが、知識を得ることで想像することができる。これからは相手に寄り添っていきたい。」などの意見、女子の皆さんからは、「月経中や月経前の不快な症状の原因や対処法を知ることができた。特に低用量ピルについてその有効性が理解できた。」などの感想を頂戴しました。

また、避妊と性感染症予防について、女子は低用量ピルの服用、男子はコンドームの正しい使用が必要である旨、説明しました。
生徒の皆さんからは、「性行為にはお互いの同意が不可欠であり、コンドームを使用しない性交は女性への暴力であることを知った」「性行為をしたくない時は、遠慮せずに断ることが大切であることを学んだ」などの感想がみられました。

子宮頚がんとHPVワクチンの説明では、子宮頚がんの恐ろしさと、HPVワクチンの有効性について説明し、特に本年4月から定期接種に加わった「9価ワクチン」の情報をお伝えしました。

卒業式を間近に控えたお忙しい時期でしたが、校長先生、副校長先生、そして養護教諭の先生の多大なご尽力のお陰で、無事に授業を終えることができました。
今回の授業が、生徒の皆さんのこれからの人生に、少しでもお役に立つことができれば、と願っています。
令和5年度もいくつかの中学校で性教育授業を行う予定ですが、今回の授業を振り返り、より分かりやすく
有益な授業を提供したいと思っております。