院長コラム

妊婦さんの新型コロナウイルスワクチン接種について

2021年1月27日、日本産婦人科感染症学会・日本産科婦人科学会から「COVID-19ワクチン接種を考慮する妊婦さんならびに妊娠を希望する方へ」と題した提言が発表されました。
一部の国ではワクチン接種が進んでおり、わが国でも2月から始まる予定です。
ただし、妊婦さんに対しては世界的にも十分な知見がなく、各国で見解が分かれているのが現状です。また、中長期的な副反応についても現時点では不明です。
今回、そのような中に出された提言について、一部抜粋・改変してお伝え致します。

 

  1. COVID-19ワクチンは、現時点で妊婦さんに対する安全性、特に中・長期的な副反応、胎児および出生児への安全性は確立していません。

  2. ただし、流行拡大の現状を踏まえて、妊婦さんを接種対象から除外することはしません。接種される場合は接種前に、「長期的な副反応は不明で、胎児および出生児への安全性は確立していない」との説明を受けて、同意して頂くことになります。
    ワクチン接種後30分は、院内での経過観察が必要になります。
    また、器官形成期(妊娠21週まで)は、COVID-19ワクチン接種を避けて頂きます。
    尚、母児管理のできる産婦人科施設等で接種を受け、なるべく接種前と後にエコー検査などで胎児心拍を確認して頂くことになります。

  3. 感染リスクが高い医療従事者、重症化リスクがある可能性がある肥満や糖尿病などの基礎疾患を合併している妊婦さんは、ワクチン接種を考慮して下さい。

  4. 妊婦さんのパートナーは、家庭での感染を防ぐためにワクチン接種を考慮しましょう。

  5. 妊娠をご希望される女性は、可能であれば妊娠する前に接種を受けるようにしましょう。
    ただし、生ワクチンではないので、接種後の長期の避妊は必要ありません。

 

わが国で実際にワクチン接種が始まると、様々な問題点が出てくると思います。
また、世界的に妊婦さんに関するデータも増えてくるでしょう。
今後、学会からの提言が更新されてくると思いますので、情報を適宜皆様と共有して参ります。