院長コラム

妊娠後期の超音波検査のチェックポイント

今回は、当院における妊娠後期(妊娠30週~40週前後)の超音波検査のチェックポイントをお示めします。

 

 

○ 妊娠30週頃

当院では妊娠30週頃に妊娠後期の胎児スクリーニング検査を行っています。経腹超音波検査での観察項目は、基本的に妊娠中期と同じです。

<全身>
著名なむくみや四肢短縮など。
<頭部>
頭蓋内の左右対称性・側脳室の拡大・小脳の低形成など。
<顔面>
口唇口蓋裂など。
<心臓>
心臓の位置と向き・左右心房心室の4部屋の状態・心室中隔の穴・肺動脈と大動脈の太さと位置関係など。
<胸部>
胸腔内の異常像・胸水など。
<腹部>
胃胞の位置・異常な嚢胞像・腸管や腎盂の異常拡大など。
<脊柱>
異常な隆起像など。
<大腿骨>
骨折や変形など。
<臍帯>
臍帯動脈の本数・胎盤への付着部位など。
<羊水量>
羊水過多や過少など
<胎児推定体重>
胎児推定体重を算出し、発育状況を確認。
<胎位>
胎児の位置を確認し、逆子や横位の場合、分娩予定の施設または東京医療センターへ紹介します。

尚、この時期はルーチンの経膣超音波検査はありませんが、頚管長短縮や低置胎盤の可能性がある場合には施行しています。

 

○ 妊娠32~40週

全例に経腹超音波検査で推定体重を計測します。胎児発育不全が疑われる場合は、国立成育医療研究センター「FGR外来」などへ紹介します。

羊水量が多い場合は、胎児の形態異常を再度確認し、胎児に異常がなければ母体の糖尿病の検査を行うことがあります。

未破水にもかかわらず羊水過少症の場合は、胎児の形態異常がないか確認し、ノンストレステストで胎児・胎盤機能を評価します。予定日前後の場合では、陣痛促進剤を用いた分娩誘発を検討します。

 

 

当院では胎児形態異常スクリーニング検査を妊娠12週ごろ、妊娠20週ごろ、そして妊娠30週ごろに行っています。
それ以外にも、毎回超音波検査で胎児の発育状況などを確認しています。
もし、異常所見が確認された場合は、ご本人およびご主人に説明させて頂き、近隣の高次施設などにご紹介致します。