院長コラム

妊娠中期の超音波検査のチェックポイント

今回は当院における妊娠中期(妊娠19週~28週前後)の超音波検査のチェックポイントをお伝えします。

 

○ 妊娠19~20週

当院では妊娠20週頃に妊娠中期の胎児スクリーニング検査を行っています。経腹超音波検査での観察項目は以下のとおりです。

<全身>
著名なむくみや四肢短縮など。
<頭部>
頭蓋骨の不整・頭蓋内の左右対称性・側脳室の拡大・小脳の低形成など。
<顔面>
口唇口蓋裂など。
<心臓>
心臓の位置と向き・左右心房心室の4部屋の状態・心室中隔の穴・肺動脈と大動脈の太さと位置関係など。
<胸部>
胸腔内の異常像・胸水など。
<腹部>
胃胞の位置・異常な嚢胞像・腸管や腎盂の異常拡大、腹壁からの臓器脱出など。
<脊柱>
異常な隆起像など。
<大腿骨>
骨折や変形など。
<胎盤>
子宮の付着位置や厚みなど。
<臍帯>
臍帯動脈の本数・胎盤への付着部位など。
<羊水量>
羊水過多や過少など
<性別>
男児または女児の外性器の所見。
<胎児推定体重>
児頭大横径(頭蓋骨の横幅)・腹囲・大腿骨長を計測し、胎児推定体重を算出。

尚、経膣超音波検査も行い、頚管長の計測と胎盤の位置を確認し、頚管長短縮や前置胎盤・低置胎盤の可能性がある場合には、さらに注意して経過観察しています。

 

○ 妊娠24~28週

全例に経腹超音波検査で推定体重を計測します。妊娠20週頃でのスクリーニング検査で、不明瞭な項目があった場合は再検します。
また、経腟超音波検査で頚管長を計り、胎盤と内子宮口の位置関係を確認します。

もし、胎児形態異常、発育不全、前置胎盤・低置胎盤、切迫早産などの可能性が考えられる場合は、国立成育医療研究センターなど適切な高次施設へ紹介します。

 

 

現在、新型コロナウイルス感染予防の観点から、妊婦健診にご主人がいらして頂くことはご遠慮頂いております。恐らく今後も、このスタイルを続けることになるかと存じます。
是非、お手持ちのスマートフォンで超音波モニターを動画などでお撮りになり、お腹の中の赤ちゃんの様子をご主人にお見せになってはいかがでしょうか。