院長コラム

妊娠前から始めた方がいい食習慣

令和3年3月、「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針~妊娠前から、健康なからだづくりを~」が厚生労働省により改訂され、令和4年8月に開催された日本産科婦人科学会学術集会でも研修プログラムとして取り上げられました。
今回は、特に将来妊娠を考えられている女性向けに、望ましい食習慣について情報共有したいと思います。

 

(1)「主食」を中心にエネルギーをしっかり摂取

主食とは、ごはん、パン、麺など、炭水化物を多く含む、エネルギーのもとになる料理です。
3回の食事で十分に主食を摂取できなかった場合は、間食でおにぎりを食べるなど、主食からのエネルギーをしっかり摂取しましょう。
特に10代、20代女性は、“スリム願望”から炭水化物を摂取しないダイエット法を行っている方も少なくありません。若い方ほど、適切な量の主食を食べるよう心掛けましょう。

 

(2)「副菜」でビタミン・ミネラルをたっぷり摂取

妊婦さんの場合、ビタミンB群、葉酸、カルシウム、鉄など、多くのビタミンやミネラルの摂取量は推奨量よりも低いことが知られています。
特に胎児や母体にとって大変重要な葉酸と鉄は、日本人女性に不足しがちな栄養素であり、これらを摂取するためには、野菜をたっぷり使った副菜を食べる習慣が欠かせません。
しかし、10代~30代女性の野菜摂取量は非常に少なく、「若い女性は野菜が好き」といったイメージと現実は大きなギャップがあります。
妊活するようになれば、「エレビット」など葉酸や鉄などマルチビタミン・ミネラルのサプリメント摂取は必要ですが、日頃のバランスの取れた食生活が前提であることはご承知おき下さい。

 

(3)「主菜」を組み合わせてタンパク質を十分に摂取

蛋白質は体を構成するために必要な栄養素であり、主に魚、肉、卵、大豆製品を使ったおかず「主菜」から摂取します。
尚、主菜に用いる食材によって、含まれる栄養素が異なります。
健康にいい「多価不飽和脂肪酸」が含まれる青魚、鉄が多く含まれる赤肉、食物繊維が豊富な大豆製品など、多彩な食材を組み合わせた主菜からタンパク質を積極的に摂取するようにしましょう。

 

 

妊娠してから食生活を変えることは難しいため、妊娠前から食習慣を改善することが大切です。
特に、カルシウム、蛋白質、エネルギーの供給に役立つ乳製品の摂取量は、学校給食がなくなる15歳以降、急激に減少します。
思春期以降の女性は、主食・主菜・副菜+乳製品といったバランスの取れた食生活を送るように心掛けましょう。