院長コラム

妊娠は計画的に~妊娠前の生活習慣~

予期しない妊娠、つまり計画外の妊娠の場合、計画的に妊娠をした場合に比べて、赤ちゃんの低出生体重、早産、周産期死亡が多いことが知られています。
妊娠を計画することで、お母さんが妊娠前から健康的な生活を送ることができ、そのことが赤ちゃんにいい影響を及ぼします。
今回は、「日本産科婦人科学会雑誌 2022年4月号」の特集記事を参考に、「妊娠する前に知っていて欲しい事」を情報共有したいと思います。

 

  • 食生活と運動習慣

食生活としては、バランスの良い食事(主食・主菜・副菜が揃う食事)を1日2食以上取るようにしましょう。
また、運動習慣として、中等度以上の強度の運動を週150分程度行うことが推奨されています。
適切な食生活と運動習慣を心掛け、適正な体重(BMI<体重kg÷身長m÷身長m>:18.5以上25.0未満)を維持しましょう。
肥満の方が妊娠すると、帝王切開、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、産後出血などのリスクが高く、やせの方の場合は、早産、低出生体重児分娩のリスクが高くなります。ちなみに、低出生体重児は、将来生活習慣病にかかるリスクが高くなることが知られています。

  • 飲酒

妊娠中のアルコール摂取は胎児アルコール症候群(子宮内胎児発育遅延、中枢神経障害、心奇形など)を引き起こす可能性があります。
妊娠前は「ビール大瓶半分/日」までを目安にし、妊娠の可能性があれば飲酒を“即中止”しましょう。

・喫煙
妊娠中の喫煙は胎児発育遅延を引き起こし、流早産、前置胎盤、胎盤早期剥離などの産科合併症や乳児突然死症候群のリスクが増加させます。
また、受動喫煙も同様なリスクがあることに加えて、男性の喫煙は精子の状態を悪化させ不妊の原因になることもあります。
妊娠を計画したら、パートナーと二人で禁煙に取り組みましょう。

  • 葉酸サプリメント

妊娠前にビタミンB群の一種である葉酸が不足すると、胎児の神経管閉鎖障害(二分脊椎など)のリスクが高まります。そのため、妊娠が成立する1か月以上前から葉酸摂取を心掛ける必要があり、バランスの取れた食事に加えて葉酸サプリメント(1日0.4㎎以上)の服用が勧められています。
尚、当院では「エレビット」(葉酸0.8㎎+マルチビタミン+鉄などのミネラル含有)を販売していますので、妊娠を計画されている方は是非ご検討下さい。

 

妊娠を考えてらっしゃる女性は、ご本人のため、そして将来の赤ちゃんのために、生活習慣を見直すことをお勧めします。
また、今すぐに妊娠を希望されていない方で、現在健康な方であっても、加齢とともに妊娠・分娩のリスクが高まります。
生殖が可能な女性は皆さん(もちろん男性も)、日々の健康維持・増進に心掛けましょう。