院長コラム

妊娠は計画的に~妊娠の年齢とインターバル~

母体年齢が35歳以降になると、自然妊娠の可能性が減少することが知られており、「何歳で妊娠するか?」を計画することは、ご家族のライフプランを考える上で非常に大切です。
今回は前回に引き続き、「日本産科婦人科学会雑誌 2022年4月号」の特集記事を参考に、「妊娠の年齢とインターバル」について情報共有したいと思います。

 

  • 体外授精をしないで妊娠したい方

35~40歳の約3割、40歳以上の約6割は自然妊娠が起こらず、体外受精などの治療が必要といわれています。カップルが希望する数の子供を持つため、妊娠に向けて何歳からスタートすべきか?これについて、シミュレーションされた推奨年齢があります。まず、「体外授精をしないで妊娠したい方」向けの「妊娠を計画し始めるべき年齢」をお示しします。

<90%の確率で“是非とも”欲しい>

1人でいい:32歳        2人がいい:27歳       3人欲しい:23歳

<75%の確率で“できるだけ”欲しい>

1人でいい:37歳        2人がいい:34歳       3人欲しい:31歳

<50%の確率で“できれば”欲しい>

1人でいい:41歳        2人がいい:38歳       3人欲しい:35歳

 

  • 体外授精をしてでも妊娠したい方

次に、「体外授精をしてでも妊娠したい方」向けの年齢をお示しします。体外受精を受け入れる場合は、受け入れない場合に比べて、計画し始めるべき年齢はやや上がります。

<90%の確率で“是非とも”欲しい>

1人でいい:35歳       2人がいい:31歳       3人欲しい:28歳

<75%の確率で“できるだけ”欲しい>

1人でいい:39歳       2人がいい:35歳      3人欲しい:33歳

<50%の確率で“できれば”欲しい>

1人でいい:42歳       2人がいい:39歳      3人欲しい:36歳

 

・理想的な妊娠のインターバル

2人以上のお子さんをご希望するカップルにとりまして、妊娠のインターバル、つまり出産から次の妊娠が起こるまでの期間を計画することも大切です。仕事の関係や経済的な背景で決定することが多いと思われますが、医学的な観点から理想的な妊娠のインターバルについてお伝えします。
実は、妊娠のインターバルが6か月より短い場合には、低出生体重、早産、新生児死亡、母体死亡のリスクが高くなるといわれています。
逆に、インターバルが60か月(5年)以上の場合、分娩時障害、母体の合併症などのリスクが高くなるようです。
そして、インターバルが18か月(1年半)の場合に、最も新生児死亡、早産、母体死亡のリスクが低いそうです。
以上から、「理想的な妊娠のインターバル」は18~24か月(1年半~2年)とされており、最低でも6か月はあけることが推奨されています。
ちなみに、推奨インターバルは母体年齢には関係せず、35歳以上の女性にも当てはまるとのことです。

 

妊娠の計画はカップルの協力が不可欠です。
母体の年齢を考慮し、希望するお子さんの数についてもお二人で話合うようにしましょう。
今回の内容は絶対的なものではありませんが、ご家族のライフプランを作成する際に、ご参考となれば幸いです。