院長コラム

国立成育医療研究センターとの連携(令和4年度)

先日、世田谷区大蔵にあります国立成育医療研究センター地域医療連携会に参加して参りました。
国立成育医療研究センター(以下成育医療センター)とは、開院された20年前から病診連携をとらせて頂いており、多くの妊婦さん、赤ちゃんを助けて頂いております。
今回は、現在および今後の成育医療センターとの連携に関して、お伝え致します。

 

妊娠中・分娩時の母体緊急搬送

妊娠中や分娩時に胎児仮死、血圧上昇、大量出血などを認めた場合、母児の生命・健康を守るために成育医療センター産科へお母さんを緊急搬送させて頂く事があります。

 

出生後の赤ちゃんの紹介

生まれた赤ちゃんの呼吸異常や心疾患疑い、母斑、副耳、多指症、聴覚異常などが認められた場合、新生児科、形成外科、皮膚科、耳鼻咽喉科などに紹介する場合があります。

 

妊娠中の胎児診断の精査・出生前検査

当院での超音波検査で、胎児の心臓や肺、消化管などの異常が疑われた場合、またNIPTなどの出生前検査をご希望される場合は胎児診療科へ紹介しております。

 

切迫早産・子宮頚管短縮・胎児発育不全の精査・管理

早産のリスクが高い妊婦さんは早産外来、胎児の発育に問題がありそうな場合はFGR外来へ紹介しております。

 

内分泌疾患合併妊娠・トキソプラズマ感染妊娠の精査

甲状腺疾患などの病気を合併している妊婦さんや、妊娠初期血液検査で妊娠中のトキソプラズマ感染の可能性が否定できない妊婦さんは、母性内科へ紹介させて頂く事があります。
状況により、分娩も成育医療センター産科でお願いすることがあります。

 

流産を繰り返されている方

複数回流産を繰り返されている方で、不育症の精査・治療をご希望されている場合は、不育症外来へ紹介させて頂いております。

 

妊娠末期に逆子になってしまった場合

妊娠35週頃に逆子であることが超音波検査で判明した場合、骨盤位外来に紹介することを検討します。ご入院して頂き、麻酔下で外回転術をされるそうです。
今のところ当院から紹介した方はいらっしゃいませんが、外回転術の成功率は約80%とのことです。
ただし、帝王切開となる場合もあるため、頭位に直っても、直らなくても、分娩管理は成育医療センター産科でお願いすることになります。

 

最近、成育医療センターでは「セミオープンシステム」を導入されたそうです。
妊娠初期に成育医療センター産科で健診・分娩予約をされた後、異常なければ妊娠32週までの妊婦健診は当院で受けて頂く事ができるようになりました。
特に当院近隣にお住まいで、成育医療センターでの分娩をご希望の方は、是非ご利用下さい。