院長コラム

中高生女子の月経トラブルの実態

中高生女子で月経困難症や月経前症候群(PMS)など、月経に関連する症状でお悩みの方は少なくありません。
ただし、他の人の月経についてお話を聞く機会はあまりないため、“月経関連症状が辛いのは自分だけでは”と不安な気持ちになっている方もいらっしゃると思います。
今回、日本産婦人科医会発行「研修ノート 思春期のケア」(令和2年12月)を参考に、中高生女子の月経トラブルの実態について説明します。

 

学業・運動に影響を与える月経関連症状

中高生にとって一番辛いのは、学業やスポーツに悪影響を及ぼすことではないでしょうか。
中高生を対象にしたある調査によると、学業・運動に影響を与える月経関連症状でもっとも多かったのが「月経痛」で71%でした。ついで「PMS」 (34%)、「月経過多」(25%)、「貧血」(19%)、「月経不順」(11%)となっています。
他の調査では、月経期間中の下腹部痛・腰痛・嘔気・頭痛・疲労感といった月経困難症の割合は、思春期・若年女性の94%にみられるとの報告もあるようです。

 

月経困難症の程度と生活への影響

中高生女子の月経痛の程度を調査した研究によると、「我慢している方」が43%、「薬を飲んで我慢している方」が35%、「横になる方」が5%にみられ、「1日寝込む方」も2%いらっしゃいました。
また、月経困難症による学校の欠席は7.7~57.8%と報告されており、テストが受けられない方、テストで実力が発揮できない方、スポーツや社会生活に支障をきたす方も少なくないようです。
別の調査では、月経困難症が毎回/ほぼ毎回ある女子は高校一年生で約40%、高校二年生で約50%、高校三年生で約55%と、学年が上昇するにつれて多くなり、月経困難症の症状の強さや日常生活への影響も、学年が上がるほど高くなる傾向があったそうです。

 

月経困難症の治療薬には、鎮痛剤、ホルモン剤、漢方薬など様々な選択肢があります。
月経困難症で学生生活に支障きたしている方は、我慢しないで婦人科を受診されることをお勧めします。
私たちは、中高生の皆さんが充実した学生生活を送れるよう、これからもサポートして参ります。