院長コラム

ホルモン補充療法に用いる新しい黄体ホルモン製剤「エフメノカプセル100㎎」

更年期障害や卵巣欠落症状(両側卵巣摘出後など)の治療として、主にホルモン補充療法(HRT)が行われます。
HRTは減少しているエストロゲンを補う治療ですが、子宮がある方の場合、エストロゲン製剤のみの投与ですと、子宮体がんのリスクが増加することが知られています。
エストロゲン製剤を投与しながら子宮内膜組織の増殖を抑え、子宮内膜増殖症や子宮体がんのリスクを減らすためには、黄体ホルモン製剤の併用が必須になります。
これまでも、HRTに用いていた黄体ホルモン製剤はありましたが、この度、「エフメノカプセル100㎎」という新しい黄体ホルモン製剤が発売されました。今回は「エフメノカプセル100㎎」を用いたHRTについて説明します。

 

「エフメノカプセル100㎎」の特徴

「エフメノカプセル」は天然型といわれており、女性の卵巣で産生されるプロゲステロンと同じ構造をしています。そのため、現在海外では天然型が主流となっています。
これまでわが国では天然型が認可されていなかったため、すでに販売されていた黄体ホルモン製剤である「プロベラ錠」「デュファストン錠」を利用してきました。しかし、これらは合成型といい、卵巣で産生されるプロゲステロンとは異なる構造をしているため、その働きも多少異なる点があるそうです。
したがって、この度わが国でも発売されることになった天然型「エフメノカプセル」が、今後のHRTの標準処方になっていくと思われます。

 

「エフメノカプセル100㎎」の使用法

HRTの施行法には、エストロゲン製剤と黄体ホルモン製剤のどちらも持続的に使用する「持続的投与法」と、エストロゲン製剤は持続的に使用しますが、黄体ホルモン製剤は周期的に使用することで出血を規則的に起こす「周期的投与法」の2種類があります。
持続的投与法では、「エフメノカプセル100㎎」1日1回1カプセルをエストロゲン製剤とともに投与します。
周期的投与法では、エストロゲン製剤投与15~28日目までの14日間、1日2カプセル投与を投与します。

 

「エフメノカプセル」服用の注意点

「エフメノカプセル」は眠気を誘う作用があるため、「就寝前」に服用して頂くことになります。
また、食後に服用すると、血中のプロゲステロン濃度が上昇するため、食後の服用を避けることが勧められています。

 

今後当院では、新たにHRTを始める方に対して、主に「エフメノカプセル100㎎」を処方していこうと考えています。
ただし、これまで「プロベラ錠」や「デュファストン錠」を服用していて調子がいい方に対しては、原則としてそのまま継続して参ります。
ただし、5年以上「プロベラ錠」を服用していると、若干乳がんのリスクが高くなるともいわれているため、状況により「エフメノカプセル100㎎」へ切り替えていくことも検討する予定です。