院長コラム

ディナゲスト錠1mgと0.5mgの使い分け

子宮内膜症、子宮腺筋症、月経困難症に対する治療薬として、黄体ホルモン製剤である「ディナゲスト錠」は非常に有用です。
ディナゲスト錠には1mgと0.5mgの製剤がありますが、単にホルモン含有量が異なるだけでなく、効能・効果にも違いがあります。
今回は、ディナゲスト錠1mgと0.5mgのそれぞれの特徴と使い分けについて説明します。

 

ディナゲスト1mgの特徴

ディナゲスト1mgの効能・効果は「子宮内膜症」「子宮腺筋症に伴う疼痛の改善」となっています。
服用方法は、1回1錠、1日2回(1日計2mg)を月経周期2~5日目から内服します。
子宮内膜組織の増殖を抑える作用や卵巣機能を抑制する作用が強く、子宮内膜症に伴う卵巣チョコレートのう胞の縮小効果も認められます。
その反面、エストロゲン分泌の低下をきたすため、更年期症状などの副作用を認めることがあります。
ただし、偽閉経療法に比べると骨密度をあまり低下させないため、長期間服用することが可能です。最も多い副作用は不正出血ですが、服用開始1-2か月を経過すると減少する傾向にあります。

 

ディナゲスト0.5mgの特徴

ディナゲスト0.5mgの効能・効用は「月経困難症」であり、子宮内膜症、子宮腺筋症の有無は問いません。
服用方法は、1回1錠、1日2回(1日計1mg)を月経周期2~5日目から内服します。
ディナゲスト0.5mgの場合、子宮内膜組織の増殖抑制作用や卵巣機能の抑制作用はあまり強くないため、子宮内膜症や子宮腺筋症の治療効果は低いものの、月経困難症の改善効果はディナゲスト1mgと同等です。
また、更年期症状などの副作用を認めることはほとんどないため、大変使用しやすい薬剤です。副作用として不正出血はみられますが、1mgと同様に数か月で軽快します。

 

当院における2剤の使い分け

  • 子宮内膜症や子宮腺筋症が中等度以上の場合は、ディナゲスト錠1mgから開始。
  • 子宮内膜症や子宮腺筋症が軽度の場合や全く見られない月経困難症の場合は、ディナゲスト錠5mgから開始。
  • ディナゲスト錠1mgで子宮内膜症や子宮腺筋症が改善された場合や更年期症状などの副作用が悪化した場合は5mgへの変更を考慮。
  • 子宮筋腫に対して偽閉経療法を6か月間使用した後、子宮内膜症・子宮腺筋症の合併が少しでも認められる場合には、ディナゲスト錠1mgへの切り替えを考慮。

 

ディナゲスト錠は非常に有用な薬剤です。
症状や診察、検査結果により1mgか0.5mgかを選択します。
服用中の方でも治療経過、副作用の状況により切り替え致しますので、お気軽にご相談下さい。