院長コラム

おりもの異常・下腹部痛を認めたら「クラミジア感染症」のチェックを

代表的な性感染症に、性器ヘルペス、尖圭コンジローマ、淋菌感染症、性器クラミジア感染症の4つがありますが、その中で「性器クラミジア感染症」の頻度が特に高くなっています。
今回はクラミジア感染症について説明します。

 

 

クラミジアとは

クラミジアという病原体は、性交渉により腟内に入り、子宮頚管に感染して増殖します。軽度な帯下の増量を認めることもありますが、クラミジア子宮頚管炎の90%が無症状であるといわれています。

子宮頚管炎の段階で治療せずに放置すると、上行性感染、すなわち子宮内膜炎、卵管炎、子宮付属器炎を引き起こし、さらに骨盤腹膜炎に進行すると、下腹部痛など自覚症状をみとめます。また、腹腔内の癒着をきたすため、不妊や異所性妊娠の原因にもなります。

さらに放置すると、肝周器炎にまで進行し、下腹部から右上腹部にかけて強い痛みをきたすことになります。

また、最近はオーラルセックスが増えたことに伴い、クラミジア咽頭感染も多数認められます。

 

 

クラミジア感染症の検査・診断

パートナーがクラミジア感染症と診断されたり、帯下増量、下腹部痛などの自覚症状が認められた場合は、子宮頚部の分泌物を採取してクラミジアの有無を確認します。

また、クラミジア陽性患者さんの約10%が淋菌感染症を合併していると言われているため、帯下培養などで淋菌検査を同時に行うこともあります。

 

 

妊娠とクラミジア感染症

当院では妊娠16週にクラミジア検査を行っております。

妊婦さんの場合、クラミジアに感染すると頚管炎から絨毛膜羊膜炎へ進行し、破水や早流産をきたすことがあります。

また、分娩までに治癒していないと、産道を通る時に新生児にクラミジアが感染し、新生児結膜炎や肺炎をきたす可能性もあります。

 

 

クラミジア感染症の治療

クラミジア感染症の治療には、マクロライド系という抗生剤を使用します。この抗生剤は妊娠中も安心して服用できます。

当院では主に、ジスロマック錠1g(1錠250㎎ 計4錠)単回投与を行っていますが、クラリスあるいはクラリシッド200mg2錠/日を1~2週間投与することもあります。

尚、治療効果判定は服用日から4週間後に行っています。

 

 

クラミジア感染症はご自身だけ治療していても、パートナーが治癒していなければ、お互いに感染を繰り返します。
二人とも治癒したことが確認できるまで一切の性交渉はもたず、挙児希望がなければ、治癒後は必ずコンドームを使用して下さい。