院長コラム

緊急避妊法について

緊急避妊法とは、無防備な性交(適切なコンドームの使用や経口避妊薬の服薬などがない性交)の後、緊急避難的に行う避妊法です。
今回は、「産婦人科navi  2022年5月号」の記事も参考に、当院での緊急避妊法の流れについて説明します。

 

緊急避妊が必要となるケース

日頃から避妊目的で経口避妊薬(OC)や銅付加子宮内避妊具(IUD)を使用している方、月経困難症の治療として低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)や黄体ホルモン放出子宮内避妊システム(IUS)を使用している方は、緊急避妊は必要ありません。
女性がこれらを使用しておらず、男性が最初から最後まで確実なコンドームの使用ができてない場合には、緊急避妊の対象になります。
ある報告では、緊急避妊外来受診理由として、「コンドーム破損」が30%以上、「避妊せず」が23%、「コンドーム脱落」と「腟外射精」がそれぞれ15%、「コンドーム腟内残留」が6%であったそうです。

 

妊娠の経験がない方

一般的な緊急避妊法は、「無防備な性交」後、72時間(3日間)以内に受診頂き(診療時間内)、「レボノルゲストレル錠1.5㎎」を1錠診服用して頂きます(当院では診察中に服用して頂いています)。その際、性交後からの経過時間が短いほど避妊率は高まりますので、できるだけ速やかに受診し服薬しましょう。
「レボノルゲストレル錠1.5㎎」の目的としては、排卵を数日後ろにずらすことで、受精を防ぐことにあります。したがって、服薬後に無防備に性交をしてしまうと、再び妊娠する可能性がありますのでご注意下さい。
一般的には、次回月経まで性交を待てるのであれば、緊急避妊から3週間後に来院してもらって月経の有無を確認し、その後は確実な避妊法を行うことが勧められています。
ただし当院では、次回月経までの間に性交してしまう可能性があることを前提に、ほぼ全員の方にOCを翌日から服用して頂き、4週間後に受診してもらっています。その場合でも、OC服用開始の最初の1週間は、できるだけ性交しないようにして頂きます(性交するのであれば確実なコンドーム装着は必須!)。

 

妊娠・出産の経験者

妊娠・出産の経験者の場合、今後5年あるいはそれ以上避妊を希望される方には、「無防備な性交」後、120時間(5日間以内)以内に受診して頂き、銅付加IUDを挿入する方法もあります。
また、妊娠未経験者でも「無防備な性交」から72時間以上経過したものの、120時間までであれば、銅付加IUDを挿入することも可能です。ただしその場合、挿入時に痛みを伴うことがあります。

 

緊急避妊法はあくまでも緊急措置です。
「レボノルゲストレル錠1.5㎎」の服用でも、銅付加IUDの挿入でも、100%妊娠を防げるとは限りません。
より確実な避妊をご希望の方は、緊急避妊後も継続的に受診して頂くことが大切です。