院長コラム

積極的に「オメガ3系脂肪酸」の摂取を

先日開催された日本周産期メンタルヘルス学会で、周産期におけるオメガ3系脂肪酸の重要性について、麻布大学生命・環境科学部の先生からご講演がありました。
大変興味深い内容で、私自身とても勉強になりましたので、今回はこの講演会の内容の一部と、「図解眠れなくなるほど面白い脂質の話」(日本文芸社)を参考に、特に女性にとってのオメガ3系脂肪酸摂取について、情報を共有したいと思います。

オメガ3系脂肪酸とは

脂肪酸とは中性脂肪を構成している成分で、いくつかの種類があり、体で作れるものと作れないものに分類されます。
体では作れない脂肪酸は食物で摂取する必要があり、これを必須脂肪酸といいます。
更に、必須脂肪酸には「オメガ6系」「オメガ3系」があり、どちらも重要な脂肪酸ですが、大切なのは摂取するバランスです。
実は、現代人は「オメガ6系」が過剰な食生活を送っており、意識して摂取する必要はなく、むしろ制限しないといけません。
一方、食生活の欧米化に伴い、年々「オメガ3系」の摂取量が減少しているため、積極的に「オメガ3系」を摂取しないとバランスが崩れてしまいます。
オメガ3は脳の働きにも影響を与えているため、もし不足してしまうと認知機能の低下、集中力の低下、抑うつ状態などの様々なリスクが高まることになります。

魚・えごま油・アマニ油を積極的に

お魚、特に青魚にEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)が多いことはよく知られていますが、これらは「オメガ3」グループです。かつて日本では魚介類の摂取量は肉類よりも多かったのですが、2008年以降逆転し、年々魚介類の摂取量は減少し続けています。
肉食中心の食生活の方は、週3回の魚食が勧められています。尚、魚食が難しい場合は、「えごま油」「アマニ油」を料理にかけて召し上がって頂くのも有用のようです。

妊婦さん・授乳婦さん・更年期女性は特にお勧め

オメガ3系脂肪酸は、脳の機能に不可欠であるため、脳の形成発達が著しい胎児にとっても大切な栄養素です。
そのため、妊娠を予定している女性は、日頃からオメガ6系脂肪酸を制限し、オメガ3系脂肪酸を増やすことで、妊娠初期の「胎児の脳形成のスタートダッシュ」に備えましょう。
もちろん、妊娠中や授乳中もオメガ3主体の食生活が望ましいのですが、これは赤ちゃんのためだけでなく、お母さん自身のメンタルにも良い効果があり、抑うつ症状の緩和も期待できるそうです。
また、ある研究では、オメガ3系脂肪酸であるα-リノレン酸を摂取した更年期女性は、接種していない女性と比べて更年期障害の改善がみられた、とのことです。
更年期障害に対してはホルモン療法や漢方療法といった薬物療法も有用ですが、食生活の改善が予防・治療の基本であることを忘れてはいけません。

オメガ3主体の食生活は、老若男女問わず有用です。
ただし、コンビニ食やファストフード、ジャンクフードに染まってしまった方々が、急に健康食に切り替えることは容易ではありません。
小中学生の頃から魚食を中心とした魚食生活を「標準」とすることが、子供たちの生涯の健康を考える上で大切ではないか、と思われます。