院長コラム

植物性エストロゲンの摂取について

私たちが日々食べている植物の中にも、女性ホルモンであるエストロゲンが含まれています。特に大豆などのマメ科に多く含まれているエストロゲンをイソフラボンといいます。
日本人は豆腐、納豆、味噌、豆乳などから1日10~30mgのイソフラボンを摂取しているといわれています。年齢により摂取量の開きがあり、健康に注意している50~60代では約25mgといわれていますが、10~20代では10mg程度しか摂取していないようです。
今回、「産婦人科診療ガイドライン婦人科外来編2020」(日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会編)、「エストロゲンと女性のヘルスケア」(メジカルビュー社)などを参考に、植物性エストロゲンの摂取について説明します。

 

 

サプリメントの有用性

実は、いくら大豆を多量に摂取しても、イソフラボンからエクオールという物質が産生されなければ、女性ホルモン様の効果が発揮できません。エクオールを作るには、ある種の腸内細菌が必要ですが、この腸内細菌を持っているのは、日本人女性の2人に1人といわれています。

したがって、大豆イソフラボンからエクオールを作り出すことができないのであれば、エクオールのサプリメントを利用して摂取することが必要です。

 

 

サプリメントの過剰摂取の影響

食事で大豆製品を十分に摂取すると、イソフラボンとして30mg程度になります。最近では、健康ブームの影響でイソフラボンサプリメントを服用している女性が増えています。中には、何種類ものサプリメントを一緒に取っている方もいらっしゃるため、従来ではありえない量のイソフラボンの摂取が可能となりました。
ある報告によると、閉経女性が70~75mg以上のイソフラボンを5年間以上にわたり摂取した場合、子宮内膜が増殖し、子宮体がんのリスクが増えるかも知れないとのことです。

 

 

イソフラボンの適正な摂取量

イソフラボンの過剰摂取がどのような影響を及ぼすかは不明な点も多いようですが、イソフラボン100mg程度であれば、毎日取っても問題はないとのです。ただし、厚生労働省はイソフラボンの1日量の上限を70~75mgと定めました。
日本人の通常の食生活では1日20~25mg程度の摂取量ですので、サプリメントで75mg摂取しても、1日合計100mgとなり問題はなさそうです。ただし、食事に上乗せされる摂取量の上限は30mgまでが望ましいと言われています。

特に閉経前後の女性にとって、イソフラボンを摂取することは大変重要です。まず、バランスの取れた食事が基本になりますが、一種類のイソフラボンサプリメントで適切な分量(イソフラボン換算で30㎎まで)の摂取に心がけるようにしましょう。

 

 

当院では「エクエル」(大塚製薬)を販売していますが、摂取量を1日4錠(エクオール10mg)までに留めて頂いております。これは、イソフラボン換算で20mg相当になります。
類似のサプリメントを何種類も平行して服薬せず、用法・用量を守って摂取するようにしましょう。