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院長コラム

当院における子宮腺筋症の薬物療法

子宮腺筋症とは、子宮筋層内に子宮内膜組織が存在する疾患で、筋層が厚くなり子宮全体が腫大します。その結果、月経困難症、過多月経などをきたし、子宮筋腫や子宮内膜症と同様、生活の質に悪影響を及ぼすことも少なくありません。
今回、当院で行っています子宮腺筋症に対する薬物療法について説明します。

 

偽閉経療法

エストロゲンの影響で子宮腺筋症は増悪するため、人工的に閉経状態にする偽閉経療法は有効です。ただし、低エストロゲン状態が長引くと骨密度の低下が引き起こされるため、6か月間という投与期間の制限があります。
もし、治療終了後に何も治療をしなければ、子宮腺筋症は再発することがあります。そのため、閉経年齢の方に対する「閉経への逃げ込み療法」や手術療法を控えている方に対する「病変の縮小目的」が良い適応になります。
具体的には、「リュープロレリン注1.88㎎」を月に一回、4~6か月間皮下注射を行います。初回注射の後、次回月経は出現することが多く、その次の月経から認められなくなります。
また、子宮筋腫を合併しているケースでは、子宮筋腫に保険適応がある「レルミナ錠」を1日1回、6か月間食前に内服して頂くことも少なくありません。月経時にレルミナ錠を服用開始すれば、次回月経から認められなくなります。薬剤の作用を考えると、「レルミナ錠」は子宮筋腫だけでなく子宮腺筋症も縮小することが期待できます。

 

女性ホルモン製剤

月経困難症の症状がある子宮内膜症に対して用いる「低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)」は、子宮腺筋症に対しても有効です。当院では、血栓症という重篤な副作用に注意しながら、「ヤーズフレックス配合錠」「ジェミーナ配合錠」といった3か月以上連続服用が可能なLEPを処方することが多いです。
血栓症の既往がある方や、前駆症状を伴う片頭痛を認める方は血栓症のリスク要因であるため、血栓症の心配がない「ディナゲスト錠1㎎(黄体ホルモン製剤)」を用います。1日2回食後の服用を長期にわたって行うことが可能ですが、まれに大出血を起こすことがあるため慎重に使用します。
また、黄体ホルモン放出システム「ミレーナ」も月経困難症・過多月経に有効ですが、子宮が大きいと自然に脱出することがあるため、当院では比較的小さな子宮腺筋症に対して使用しています。

 

子宮腺筋症の発症年齢のピークは40歳代であり、不妊や産科合併症の原因となるともいわれています。
また、子宮筋腫や子宮内膜症と合併することが多い厄介な疾患です。
当院では患者さんの年齢、症状、挙児希望の有無など考えながら、最善の治療法を提供して参ります。

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