院長コラム
ホルモン補充療法におけるホルモン剤の投与方法
更年期障害などの治療として有用なホルモン補充療法用(HRT)ですが、そのホルモン剤の投与方法にはいくつかのパターンがあります。
今回は、当院で主に行っているHRTのホルモン剤投与方法について解説します。
A エストロゲン・黄体ホルモン併用療法
エストロゲンの低下に伴う症状の改善にはエストロゲンを補うことが有用ですが、それだけでは子宮体がんのリスクが高まります。子宮体がんを予防するためには、子宮内膜増殖の抑制作用を持つ黄体ホルモン製剤の併用が必要です。
- 周期的併用法
閉経後も周期的な出血を希望されるには周期的投与を行います。主に50歳以前の方が多い投与方法です。
周期的併用法には、エストロゲン、黄体ホルモン剤ともに周期的な「間欠法」と絵エストロゲンは持続し黄体ホルモン剤のみ周期的に用いる「持続法」がありますが、当院では主に後者を行っています。
エストロゲン持続投与 ⇒ 月に一回黄体ホルモン製剤12日 ⇒ 服薬終了後出血 |
- 持続的併用療法
閉経後は手記的な出血を希望されない場合は持続的併用法、つまりエストロゲンも黄体ホルモン製剤も持続的に使用します。主に50歳以上の方が多い使用法です。
エストロゲン+黄体ホルモン製剤 持続投与 |
B エストロゲン単独療法
子宮摘出した方は子宮体がんになる心配がないため、エストロゲンのみ持続投与となります。
エストロゲン 持続投与 |
文献的には、周期投与法の方が大脳血流量は増加し、脳血流量に好影響を与えるとの報告があります。
一方、持続投与法の方が子宮内膜増殖症や子宮体がんの発生が少ない、といわれています。
明確な決まりがあるわけではないため、ほとんどの場合、「周期的に出血があった方がいいか」、「ない方がいいか」により投与方法を選択することになります。