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院長コラム

将来の妊娠を見据えた思春期女性の健康課題対策 ~体重管理の重要性~

母体の栄養状態は赤ちゃんの成長・発達に大きな影響を及ぼします。そのため、妊娠を検討されている女性は、適正な体重を維持し、バランスの取れた食生活を送る必要があります。
ただし、妊娠前に急に体重や食習慣をコントロールすることは困難ですので、できれば思春期から適切な生活習慣を身に付けて頂く事が望ましいでしょう。
今回は、将来の妊娠を見据えた思春期女性の健康課題対策として、体重管理の重要性について、「産科と婦人科 2020年8月号」の内容を参考に説明します。

 

“やせ”の問題

体格の指標であるBMI(体重kg÷身長m÷身長m)が18.5を下回る状態を“やせ”といいます。
やせの状態で妊娠すると、早産、胎児発育不全、低出生体重児(2,500g未満)が増えることが知られています。特に出生体重は子宮内環境や母体の栄養状態を反映する指標と考えられています。
低出生体重児は、将来糖尿病や高血圧、心血管病など生活習慣病の発症リスクが高くなります。つまり、「妊娠前にスリム」であると、「子供が将来不健康になる」可能性が高くなると言えるでしょう。
我が国の低出生体重児の割合は、1975年に約5%でしたが、2000年には8.6%、2018年には9.4%にまで上昇しており、先進国の中で最も高いとのことです。特に、若い世代での低出生体重児の割合も増加していますが、その背景には若年女性の“スリム志向”が指摘されています。
実は、日本人女性全体のやせの割合は約10%ですが、20代女性では約22%、30代女性では約13%となっています。
このままでは、ますます“やせ女子”が増え、その結果として数十年後には“不健康な大人たちの国”となる恐れがあります。

 

“肥満”の問題

BMIが25.0以上を“肥満”といいます。
妊娠前の肥満は不妊の原因となり、妊娠が成立した後は多くの妊娠合併症のリスク因子となります。肥満妊婦で高まるリスクとして、妊娠高血圧腎症、妊娠糖尿病、巨大児、難産、死産などが挙げられ、母児に大きな悪影響を及ぼします。
また、母体の肥満は、やせの場合と同様、子供に対しても長期的な影響をもたらすことが知られています。妊娠前の肥満や妊娠中の過剰な体重増加は、将来的に子供の糖尿病、心血管病、脳梗塞などの発症リスクを高めます。
我が国の肥満女性の割合は全体で約22%であり、20代では6%以下ですが、30代で約14%、40代では17%以上となり、年齢と共に肥満の割合が増加しています。
今後、晩婚化に伴う出産年齢の増加に伴い、ますます肥満妊婦が増え、その結果として数十年後には“不健康な大人たちの国”となる恐れがあります。

 

妊娠前の“やせ”も“肥満”も、妊婦さんだけでなく、お子さんにとっても長期間にわたり悪影響を及ぼします。
そのため、妊娠を希望する女性はBMIを18.5以上、25.0未満になるよう、体重を適正にコントロールすることが望まれます。
できれば、思春期の事からバランスの取れた食生活、適切な運動習慣を身に付けるようにしましょう。

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