院長コラム

外陰部のかゆみへの対応

夏になると汗で外陰部がかゆくなる方も多いと思います。市販薬を使用するものの、あまり効果がみられない方や、すぐに再発する方も少なくありません。
今回は、「婦人科診療ガイドライン婦人科外来2020」の内容も交え、当院における外陰部掻痒症の対応について説明します。

 

感染症の有無の確認

帯下を認めた場合、外陰腟カンジダ症、トリコモナス腟炎、細菌性腟症などの感染症が、かゆみの原因となっている場合があります。
肉眼的または培養検査でカンジダが認められた場合は抗真菌薬(イソコナゾール腟錠、フロリード外用剤など)を、トリコモナスや細菌が認められた場合はフラジール内服薬、フラジール腟錠を使用します。

 

接触皮膚炎の確認

接触皮膚炎は、外来の刺激物質などに接触することにより認められる湿疹性の皮膚炎です。
原因となる刺激物は多岐にわたり、化学的刺激として、汗・腟分泌物・尿・石鹸・入浴剤・香水・脱毛クリームなどがあり、物理的刺激として、衛生パッド・タンポンのひも・きつい衣服・合成繊維下着・トイレットペーパー・過度な洗浄・毛剃り・長時間の座位などがあります。
これらの可能性が考えられる場合は、できるだけ避けるようにし、熱いお風呂なども控えて頂きます。

 

接触性皮膚炎の治療

症状が軽ければ、ヒルドイドソフト軟膏などの保湿剤やフエナゾールクリームなどの非ステロイド抗炎症外用薬を用います。
1~2週間の使用でも改善しない場合や中等度の皮膚炎の場合は、マイルドなステロイド外用薬(ロコイド軟膏など)を使用しています。
それでも改善しない場合は、ストロングのステロイド外用薬(リンデロンV軟膏など)に切り替えて様子を見るか、皮膚科へ紹介させて頂きます。

 

閉経後女性の場合、エストロゲンの低下により腟・外陰部が萎縮することで、外陰部掻痒を認めることがあります。
細菌性腟症や接触皮膚炎にもなりやすくなるため、前述の治療に加えて、ホルモン補充療法(全身投与あるいは腟内投与)が有用な場合があります。
また、レーザー照射により腟粘膜や外陰部の皮膚の状態を改善する治療法もあります。当院では「モナリザタッチ」を用いた腟・外陰部レーザー治療(初回33,000円、2回目以降55,000円/回)で行っておりますので、ご希望の方はご相談下さい。